出版社内容情報
核の大火による滅亡の危機をこえて,我々はいかなる世界を構想することができるか.想像力を駆使して世界モデルを構築することを文学の使命とする著者が「人間」の声の大きな唱和を求めて行った感動的な講演の記録.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
eucalyptus
0
一つ目の講演録は『核の大火と「人間」の声』。京大の法学政治学ゼミナール大会での、若い人へ向けての講演です。「高橋さん(高橋和巳)のように大きい状況を正面から書くという仕方の若い作家がいなくなった。もっぱら小さな状況を書くのみの作家が多くなってきた。それも小さな状況から書きすすめていって大きい状況に風穴をあける、大きい窓をあけるという作風の作家がいるかというと、そうではない。小さな状況に始まって、小さな状況に終るという文学のつくりかたに、現代日本文学の全体が疑問を感じていない、そのように見えるのであります」2025/07/05