出版社内容情報
一連の政治裁判の後逮捕され,1937年よりフルシチョフ改革の56年まで収容所や流刑地で服役,絶望の時代を生き抜いた誇り高き一女性の回想録.政治裁判にいたる30年代の政治のありようを生き生きと伝える,貴重な証言.
内容説明
「私は地獄から戻ってきた、束の間の地獄からだ。しかし、私が確実にそこに落ちるのは疑いない」―反対派の問題を審議する党中央委員総会は、相互の中傷・告発の場でしかなかった。政治裁判の開始から逮捕されるまでのブハーリンの苦悩と、多くの中央委員たちが何故スターリンに屈服していったのか、を伝えるスターリン時代の貴重な証言。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベイス
86
恐ろしい。これは本当に正確な回想なのだろうかと思わず疑ってしまうほどに、恐ろしい。スターリンのテロル。ブハーリンの美しい魂が蹂躙されていく様はちょっと強烈過ぎて、呼吸を整えながらでないと読み進めないほど。この大テロルが行われていたとき、ソ連は国際的には「対ファシズムの砦」たる評価を得ていた。例えばロマン・ローランはその思想が世界を支配するだろうと持ち上げていた。その裏で国内でここまでのファシズム的テロルが行われていたとは、何たる歴史の表裏よ。今ではほとんど知られていないと思われる岩波の名著、出会えて感謝。2023/04/30
みーふぃ
2
夫は逮捕 じぶんは収容所。 過酷すぎる運命にも負けず生きた、アンナ ラーニナ。