出版社内容情報
京都の鴨川べりに住んで30年.書物を読み,仏文学を講じ,能を舞い,史跡の点在する川筋を歩く.こうした日々を,自分の生いたちの回想などを交えながら,質感に富んだ比類のない名文で綴ったエッセイ集.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きりぱい
3
鴨涯とは鴨川(京都)の川岸のことだそう。その川っぷちの家に住み取りかかった仕事や思索。鏡花や秋声など日本文学から、自分がいかに仏文学に転科して今に至ったかなど、生い立ちに始まり読書体験の話など。山田稔がエッセイで引き合いに出していたけれど、エッセイを書くときの自戒は、1に謙虚な態度、2に簡潔、3に読者を退屈させるな、だそうで、それぞれにモンテーニュや宇野千代、毛沢東、ロラン・バルトのエピソードが添えられる。全然気に留めていなかったけれど、結構この方の翻訳で読んだ作品があったのだった!2011/10/17