出版社内容情報
女子修道院に忍び込む,臣下の奥方をかどわかす,王妃の侍女と密通する-.巷間の俗説となって後世に残るスペイン国王フェリペ4世の愛の冒険の数々と,17世紀ハプスブルク・スペインの黄昏れゆく時代の風景.
内容説明
十七世紀スペイン―。政治的にも経済的にも急速に凋落の一途をたどり、国家全体が疲弊しきったフェリペ四世の治世(一六二一‐六五年)において、政治に関心のない王は、国政のほとんどを寵臣オリバーレスに任せ、多くの時間を祝宴や観劇、狩猟や恋愛に費やした。なかでもフェリペの色狂いは有名で、年齢を積むたびに女たらしの常習犯と化していった彼の愛の冒険にまつわるエピソードの数々が、巷間の俗説となって後世に残されている。戯れの恋は数えきれず、恋の相手も既婚であろうと未亡人であろうとお構いなし―。本書では、統治者としては無気力、文芸愛好家という点では詩人、放埒な生活を繰り返したという点では女たらし、そして愛の遍歴を繰り返すたびに罪悪感に苦しみ、神の慈悲にすがったという点では敬虔なカトリック教徒であったフェリペ四世の放埒な宮廷生活と、この世のすべては儚いものであるという感覚が社会全般に浸透していた黄昏れゆく十七世紀スペインの時代の風景を描き切る。
目次
第1章 スペイン国王フェリペ四世、誕生
第2章 浮気な国王の放埒な宮廷生活
第3章 フェリペ四世の告白できない告白
第4章 スペイン帝国の危機と王家の不幸
第5章 世俗を逃れて/恩寵を求めて
第6章 国王の晩年と黄昏れゆくスペイン
十七世紀スペインへの望遠鏡
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
timeturner
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著者は歴史学者ではなくてスペイン古典文学が専攻だそうで、同じことの繰り返しが何度かあって垢抜けない面もあるが、とても読みやすく、歴史を楽しく学べた。2006/09/09
我門隆星
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非常にマジメな史書。情熱的な(きった、はった、ほれた、はれた)話を期待すると、かなり肩透かしを食らう。当時の「宮廷の生活」というものを、非常に深く、広範囲に、かつ全般的に、伝えてくれる。2004/03/11
Takako Izumi
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令和初日に読み終わりました! ベラスケスの絵を裏側から見るような1冊で面白かったです!2019/05/01