出版社内容情報
デカン地方を中心とする厖大な在地文書をもとに,土地所有,村の生活,人々の諸関係などインド中世社会の実態に迫る.また儀礼や祭祀,規範と制裁等にもふれ,共同体の中の階層的編成や国家機構との関連をも考察する.
内容説明
デカン地方を中心とする厖大な在地文書をもとに、土地所有、村の生活、人々の諸関係などを目に見えるように描き出し、これまで明らかにされることの少なかったインド中世社会の実態を浮かび上がらせる。また、儀礼や祭祀、規範と制裁などにも触れながら、共同体の中の階層的編成や身分制と国家機構との関連などについても考察する。
目次
1 村の生活(デカンの村;農民―所有と経営;村の中の分業;地母神の世界;共同性と序列性)
2 カーストとカースト制(カースト集団;規範と制裁;カースト制―序列と差別;カーストの流動性;カースト制と国家)
3 「地域社会」と在地領主(「地域社会」;「地域社会集会」;在地領主)
感想・レビュー
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in medio tutissimus ibis.
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中世西インドの村落は、共同体の構成員であることを保証する農民及び職人のワタン(株)と、各々がその宗族と職業によって所属するカーストとによって秩序付けられていた。両者は各々の集会によって自治を行っていた。これらには、天水頼みの半農半牧の農業にとって土地の価値が乏しいために代わってワタンが不動産の如きものとして投機と当地の手段として売買され在地領主を産む中で、ワタンの売買譲渡に混乱が生じてくるまで、政府は独自の身分制度や統治機構を農村に及ぼすことをせず、その集会の結論を追認するにとどまっていた。2020/11/15