感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
12
☆☆☆☆☆ 「天井から降る哀しい音」「どんなご縁で」「そうかもしれない」とそのタイトルが尋常じゃない研ぎ澄まされ方。そぎ落とした最後に残る髄のような静寂で哀しい文体により、妻の変容を寂しく罪悪感も伴いながら語り描写する。50年の重みと同時に束の間と感じさせる人生の時間感覚。自分も人生の折り返しに入っているという確実な思いとともに、痛切な感情に突き動かされるように読んだ。作品は孤高、極北という印象。年譜などを見ると人としての生き方は苦渋に満ちたもののようだった。それゆえに一層妻への哀惜の念が強いのだろう。2015/03/18
hal64210
1
西村賢太の一私小説家の……で初めて其の名を知った。耕の事について詳しくどうだこうだと書いてないのでwebで調べて奥さんの痴呆について私小説かとして感動されるものを書いている事を知って読んでみた。 人はもれなく死に行くが、生が痴呆によって徐々に蝕まれていく過程は非常に物悲しいものであるようである。人間が長生きできるようになって反対にその様な痴呆によっても尚生きながらえる事は本当に人間にとって良いことなのだろうか?考えさせられる内容である。 2012/04/28
のりこ
0
人は忘れるようにできている。全部憶えてたら生きていけないから。でも認知症は不本意にも、記憶したものがこぼれていく。この小説は30年以上前に書かれていて、痴呆症と呼ばれていた時代なので、崩壊していく家族を受け入れがたい感じがよくわかる。実際に親の徐々に壊れていく姿は悲しい。どうしてこうなるんだろう。神様の意図は?と考えてしまう。2022/09/19
えいとうっど
0
極めて個人的なお気に入り度合い:★★★★☆4点 母校の先輩、私が在学時に亡くなられて30年たった。3代目春団治師匠の映画は未見。私は結婚してまだ20年だが、夫婦にしかわからない辛さが確かにある。どんなご縁で…。2018/03/01