出版社内容情報
ISBNの役割は何なのか。
1980年代に大論争を巻き起こした「ISBN」(国際標準図書番号)、および「日本図書コード」導入問題を、書誌情報・物流情報のデジタル化というその後の史的展開の前史と位置づけ、これまでほとんど報告されることのなかった、出版社・取次・書店によるさまざまな出版流通合理化の構想と「日本図書コード」導入の関係を、詳細に考察する。
まえがき
●第1章 日本図書コード導入問題研究の背景と動機
1・1 日本図書コード導入問題の概要
1・1・1 日本図書コード管理委員会の発足とその構成
1・1・2 出版流通対策協議会の反対
1・1・3 日本図書コードの定義と概要
1・2 日本図書コード問題研究の不在
1・3 図書館界と出版界の視点の相違
●第2章 日本図書コード導入の経緯
2・1 日本書籍出版協会と出版情報一元化構想
2・2 国立国会図書館のはたした役割
●第3章 日本図書コード導入の意義
3・1 出版流通の円滑化
3・2 資料収集と情報公開の促進
3・3 図書館の総合目録の作成
3・4 図書・印刷カードの発注
3・5 貸出記録の作成
3・6 日本図書コード導入効果と図書館
●第4章 導入反対運動とその根拠
4・1 不透明な委員会設立背景
4・2 中小出版社への差別的取り扱い
4・3 取次支配拡大の危機と書店のコスト負担増
4・4 通商産業省による出版管理と国立国会図書館による出版統制
4・5 図書館利用者の貸出記録管理
4・6 類似する構造と繰り返される論議
●第5章 出版流通合理化への影響
5・1 日本書店組合連合会
出版流通の円滑化、情報公開の促進に道を開こうと導入を進める図書館界と、通商産業省による出版管理や国立国会図書館による出版統制を危惧する出版業界。その2者の齟齬、具体的な対立点にも、焦点をあてています。
内容説明
本書は1980年代に日本の出版業界・図書館界に大論争を巻き起こしたISBN導入問題を、書誌情報・物流情報のデジタル化というその後の史的展開の前史と位置づけ、日本における出版流通合理化に与えた影響を検証するものである。日本におけるISBN導入を出版業界と図書館界はどのようにとらえたのか。当時の声明や報告書といった原資料、出版業界誌・紙、導入反対運動の機関紙をもとに描き出したものである。
目次
第1章 日本図書コード導入問題研究の背景と動機
第2章 日本図書コード導入の経緯
第3章 日本図書コード導入の意義
第4章 導入反対運動とその根拠
第5章 出版流通合理化への影響
第6章 結論―書誌情報・物流情報のデジタル化前史としての日本図書コード導入問題
著者等紹介
湯浅俊彦[ユアサトシヒコ]
1955年、大阪府生まれ。大阪市立大学大学院・創造都市研究科・都市情報学専攻情報メディア環境研究分野・修士課程修了。大阪市立大学大学院・創造都市研究科・都市情報環境研究領域・博士(後期)課程在学中。日本出版学会理事。日本マス・コミュニケーション学会会員。日本図書館研究会会員。日本図書館情報学会会員。日本ペンクラブ電子メディア委員会副委員長。大阪市立大学非常勤講師。京都学園大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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