内容説明
沙漠の老楽師のしゃがれ声、口パクのステージ、踊り子が誘う視線、倉庫に眠っていたガムラン楽器、オンラインでの静かな息づかい…言葉にならない「音楽」を、あえて語ろう。音楽にはあらゆるモノをつなげる力がある。そこに居合わせた「私」もまた、音楽を織りなすアクターとなる。このプロセスと動態をときほぐす、世界で生成する「音楽の力」の民族誌。
目次
序章 「音楽の力」を取り戻すための試論
第1部 つながる(媒介)(音が編み込む力―インド・タール沙漠の芸能世界が教えてくれたこと;「見せる場」から「音楽とともにいる場」へ―ウガンダの学校と盛り場で;音を継ぎ合わせる「視線」―インドの歌舞踊ラーワニーの舞台実践から)
第2部 うみだす(創造)(醸される島の音の力―三宅の声と太鼓が生み出すアッサンブラージュ;つながりを手繰り寄せる/選り分ける―社会的存在としてのチベタン・ポップ;調を外れて響き合うトーンチャイム―サウンド・アッサンブラージュの授業風景)
第3部 つたえる(継承)(制度と情動をめぐる相剋―東北タイのモーラム芸能にみる暴力・性・死;一切をつむぎ、交感するアッサンブラージュの力―高知におけるガムランプロジェクトの実践を通して;媒介、愛着、継承―ソロモン諸島アレアレにおける在来楽器アウをめぐって)
補論 仮想空間で音楽になること
著者等紹介
小西公大[コニシコウダイ]
1975年生まれ。所属:東京学芸大学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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YO)))
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記号的に消費される「モノ」としての音楽ではなく、聴衆や環境も含めたあらゆるアクターをつなぎ合わせ統合する「コト」=現象としての音楽に、「サウンド・アッサンブラージュ」=「音の/音による寄せ集め/組み(紡ぎ)合わせ」というコンセプトを立てて迫る、刺激的な一冊。 特にトータルな「場」としての音楽の力を感じさせてくれる論考として ・インド、タール砂漠で婚姻などの儀礼を司る楽師マーンガニヤール ・ウガンダの盛り場の口パクパフォーマンス「カリオキ」(カラオケが語源) ・高知の小学生によるガムラン演奏 などが興味深い2024/03/03