内容説明
「最も哲学者らしい哲学者」と形容される人物の肉声と素顔が、同時代人たちの熱い証言によっていま静かに蘇る。苦悩する現代人のための第1級のドキュメント。
目次
スピノザ遺稿集の序文―スピノザについて
ベネディクトゥス・デ・スピノザ氏の生涯と精神
三人の欺瞞者論序文
批判的歴史辞典
スピノザの生涯
オランダ旅行記
レンブラントの生涯の時代
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mikio
10
「心理を認識することができるのは、幼時の教えを脱却した人のみである。習慣の印象に打ち勝ち、物事をそれ自身によって判断できるまでは、人間の精神を満たしている間違った観念を抹殺するには、並々ならぬ努力を必要とする。この深淵を逃れることは、私の考えでは、混沌を明らかにすると同じく偉大な奇跡である。」スピノザは真理を求めるが故に、無知なる信仰、盲目的に正典を信じることを拒絶したという。信仰を伴う閉鎖された社会、想像すると怖い。村八分だ。そういう時代だからこそ、スピノザの純粋は極まったのだろう。2024/06/26
泉のエクセリオン
4
『エチカ』で有名な哲学者のドキュメント。スピノザ本人の言葉ではなく当時のスピノザを知る知識人たちが、スピノザを語っていく。『エチカ』での神の考えは『スピノザの神』という風に形容してしまうけど、これを、あまり詳しくはないが、従来のキリスト教の考えに当てはめるとなると、いかんせん認められない、というのもなんとなくわかる気がする。しかし、自分の考え、主張を自由に考えて発表していいというのは『言論の自由』につながるのかな?『神学政治論』の冒頭の言葉の意味も今なら分かる気がする。2020/02/02