内容説明
海のむこうに憧れて一羽の鳥が飛び立った。壮大な夢を描く感動の名作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つくよみ
78
図書館本:あるところで、自然の脅威に耐え、外敵から身を護りながら鳥達が暮らしていた。そこは自然からの恵みが溢れ、穏やかな生活が約束された土地だった。ある日、群れの中の一羽が、大空とまだ見ぬ大地への憧れを胸に、飛び立った・・・と言うお話。ひたすら飛び続けたが、小さな鳥が渡りきるには、海は広すぎた。やがて鳥は力尽き、自分の行動に満足しながら海に沈む。その後も、それに続く鳥が現れては、同じ運命を辿っていった・・・幾千年が過ぎ、またもや同じ運命を辿りかけた鳥が見たものは?絵の質感が素晴らしい作品。裏表紙に感動。2014/01/18
おはなし会 芽ぶっく
25
川端誠さんと言えば、落語絵本!のイメージでしたが、全くジャンルの違う絵本。デビュー作なのだそうです。最初の生き物が始めたことが次々と連鎖し、それが進化に繋がっていくようなおはなし。渡り鳥の最初ってこうだったのかな?とロマンがあります。海の向こうを目指して羽ばたく鳥たちは、残念な結果になってしまった鳥が多いけれど、彼らは決して後悔はしていない。【第5回 絵本にっぽん賞】 5分2020/10/13
遠い日
17
力強く、夢ある物語。大空に憧れ、空へと飛び立った鳥たちの祈りと願いは、長い長い長い年月を経て叶えられた。海を渡る術なく命を落とした仲間たちの魂でできているかのような島として。そして、ついに蘇った鳥たちの姿の凛々しさ、逞しさ。凹凸のあるクレイアートのような絵の美しさと相俟って、深い印象を残す物語だ。2016/03/27
けんとまん1007
17
種(しゅ)としての生き物の力。そうやって、環境に適応してきたんだろうな。そんなことまで考えてしまった。最初は、少数派・異端児かもしれない。しかし、その1歩の積み重ねが、大きな展開を生むことにつながる。2014/07/02
ふじ
16
別版だけれど。川端さんといえば、お化けシリーズやめっちゃ奇抜な「うえきばちです」が印象にあったので、この美しい童話が意外すぎてつい心打たれてしまった。画面の使い方も舞台的で芸術点の高い絵本。鳥が、仲間と離れ、海を渡る。どうしても止められない、冒険心がきっとそこにはある。『日本の絵本100年100人100冊』より。2023/09/27