見えない人間〈2〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 430p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784888963367
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

その後、「僕」はアパートの立ち退きにあっている黒人の老夫婦を見て、演説をする。その演説を聴いていたブラザー・ジャックに誘われて、「ブラザーフッド協会」に入る。「僕」はそこで懸命に働き、頭角を現しハーレム地区の指導者になる。だが、協会は方針を転換し、「僕」を疎んじるようになる。その頃、会員のトッド・クリフトンが白人の警官に銃殺され、「僕」はハーレムの住民を巻き込んで盛大な追悼集会を行い、それが契機となって、暴動が起きる。暴動から逃げる途中、開いていたマンホールに落ち、地下の穴ぐらに住むようになる。そこに何年も暮らした後、「僕」は混沌とした地上の世界に戻ろうと決意する。

著者等紹介

エリスン,ラルフ[エリスン,ラルフ][Ellison,Ralph]
1914年3月、オクラホマ・シティに生まれる。リチャード・ライトに勧められて書評を書くようになり、エリスンにとって、これが作家になる契機となる。『見えない人間』の発表によって、一躍、文壇の寵児になる。生前の彼は主として評論を中心に活躍したが、1994年4月、ニューヨークの自分のアパートで膵臓癌のために死去

松本昇[マツモトノボル]
明治大学文学部卒業、同大学院博士後期課程満期退学、現在、国士舘大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

273
Ⅱ巻は「ブラザーフッド協会」での活動が中心となるが、その実態は主人公にも我々読者にもとうとう不明のままである。そのことが、いっそうに不条理感を高めるし、小説世界に独特の空間を醸成する。また、主人公が直面する現実の領域においても、彼に要求されるのは行動のみであり、思考することは組織から断固許されない。そうした煩悶の揚句に彼は「見えない人間」になるのだが、それはいわば陰極のアイデンティティでしかありえなかったのではないか。そして、最後のところで著者は黒人ではない読者の共感を拒否しているようにも思えるのである。2017/01/21

ケイ

125
この作品の真髄は、エピローグにあると思った。勿論、全て読んだ上で、その流れを考えた上で、エピローグが訴えてくる思想だ。黒人が結局白人や黄色人種も受け入れられなければ、アメリカに真の平等はこない。何かの活動やスローガンのために誰かを担いで矢面に立たせることは、日本でのデモでもいつも思うこと。そこの誰かをすげ替えて活動は続く。そう思うと、これはアメリカだけではなく、人種差別だけではなく、普遍的な問題を謳っているのかもしれない。2017/03/14

Willie the Wildcat

59
目的と手段。問題は、その妥当性。万人の受容度も、現実解ではない。組織と役割による認知度が齎す誤解と気づき。マンホールの場面が、もれなく転機。決別と決意!適合化ではなく多様性の受容。組織ありきの自分ではなく、自分ありきの組織のような印象。踏み出す可能性への一歩、それが自由への扉に導く。感情と理性のバランスも、時勢次第。物心両面での解放。一方、現在も不変の問題は、何を意味するのか?”築かれた原則”が、心の重みとなる感。2018/06/16

ヘラジカ

28
下巻は、アメリカの黒人が自覚によって近代化されるまでの過程を寓話化したものとしても読める。最期のカタストロフを含めて、決して退行を描いた作品ではないだろう。差別や偏見、少数民族に対する抑圧を描きながらも、多文化主義への批判も込められている実に複雑な小説だ。主題が複雑なだけではなく、筋書きが一貫して真っ直ぐなのにも拘らず、表現の手法も非常に多彩である。一冊の小説を複数の作家が書いているのかと錯覚してしまう程だ。今なおアメリカで重要な位置を占めている作品だけに、様々な面で驚きの多い作品だった。黒人文学の傑作。2016/05/22

Mar

4
黒人の「僕」が、奴隷解放後も黒人差別の続く米社会で、自分が「見えない人間」であることを自覚するお話。「僕」は大学でも組織の中でも「権力者や白人が求める黒人像」を演じてた。でも、白人の求める黒人を貫いて。きた学長はかなり下衆な奴だし、黒人の権利を訴える白人のブラザーたちも、黒人差別の抜けない奴らだということに気付く…。マイノリティの側からみたアメリカ社会を知るのに良い本。1巻と比べると2巻の後半の「僕」の成長が素晴らしい。2011/08/25

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/220688
  • ご注意事項

最近チェックした商品