イタリア異界物語―ドロミーティ山地 暮らしと伝説

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  • サイズ B6判/ページ数 294p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784887217003
  • NDC分類 388.37
  • Cコード C0098

内容説明

いまでも、ひとりで山の小道に入ってゆくと何かに出会いそうな、そんな怪しい山岳地帯が北イタリアに存在する。それはドロミーティ・アルプス地域だ。周囲には朝夕、この世ならぬ色に染まる異形の岩山や深い森、神秘的な氷河や底知れぬ湖、急変する自然現象があって、住民の想像力を激しくゆさぶり、見えない物まで見せてしまい、得体の知れない恐ろしい魔物や化け物や、美しい妖精を生み出した。動物は人間の言葉を話し、人間が動物や花や木に変身し、また動物が人間に簡単に変身する。凄絶なまでに美しい自然に閉ざされて暮らしてきた人びとが生み出した、この世ならぬ物語のかずかず。

目次

白雲石の由来伝説
この世ならぬ者たち
女のもうひとつの面
サルヴァン(山や森の男)
小人
巨人
異界の悪女―魔女
魔女の女王
得体の知れぬ魔物たち
幽霊
花は語る
樹木も人なのか?そして石も
人はたちまち動物に変じ、その逆もまた真なり
異界の動物たち
伝説をいろどる鉱脈
アーサー王宮廷から飛翔してきた騎士たち

著者等紹介

増山暁子[マスヤマキョウコ]
東京都出身。聖心女子大学外国文学部卒業。イギリス(バーミンガム大学)、イタリア(ミラノ・カトリック大学、フィレンツェ国立大学、ペルージア外国人大学)に留学。「古譚百種」「ローマ七賢者物語」「ペンタメローネ」「トリスタン狂乱」「リオンブルーノ」など、民話およびアーサー王文学にかんする研究論文多数。2001年4月、日本文化振興会国際アカデミー賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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mob

6
キリスト教の魔女狩りに歪められる前の仙女・魔女観を中心に、深い山奥の民話の世界に触れられる。原風景となる写真はモノクロで納められるが、ドロミーティは世界自然遺産なのでネットで美麗な画像が確認できる。騎士道物語等の根底にあるキリスト教以外の価値観の原風景の一部をなすが、自然環境の厳しい地域だけあって、キリスト教の原罪意識と少しズレた所で因果応報的感覚や異界の脅威が強いように思えた。2021/08/04

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4
読んだ事のない話が多くて◎楽しめました。作中で触れられている叙事詩『失なわれしファネス王国』の詳細が気になります。2010/06/23

ハイツ黒猫

3
謎めいた洞窟や裂け目、神秘的な氷河や底知れぬ湖など、急変する自然現象は、人の想像力を刺激し、見えない物も実体と感じさせる。 シミラウンのミイラやモンデヴァルの男が発見された事で有名なドロミーティ山地の話は、異界との関わり合いが非常に密であり、現世との境界が混沌としているため、不明瞭な10世紀前後のヨーロッパが残っていて大変魅力的に見える。 今や、しゃべれる人が少なくなっているラディン語で語り継ぐその物語は、残酷で美しく夢中になった民族学者は数知れないという。 採掘する為に、生贄を必要とした鉱山の話は、多く2013/07/04

OZ

2
マルモッタの王女様と出会った王子様は「有能な人はどこにいても有能」という、普通王子さまにはつかないスペックがついていて面白かった。が、魔女や伝承がこういった山地にしか残っていないのはキリスト教に追われた結果だということも慮られて我が国の語りとの差を考えるとかなり切ない。きっともっとたくさんあったんだろうなあ。2012/04/23

めぐみこ

2
どこか懐かしく、けれど初めて読む伝承たちに夢中となった。メインとなるドロミーティ山地自体、初耳。本文から察するに自然の豊かさと厳しさを併せ持った土地なのだろう。欲を言えばもっとカラー写真が見たかったなあ。「おわりに」の文化の伝承・保存問題と教育格差は考えさせられる…。2010/12/05

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