内容説明
捜査一課に配属されて間もない刑事・静川涼吾の全神経は、完黙を続ける容疑者を前に、極度に張り詰めていた。本当にこの男が殺したのだろうか…。誰の記憶にも残らないような、おとなしそうなこの男が。―事の発端は同僚殺害容疑だった。やがて、すでに事故として処理されてきた複数の事案がつながり始めた。真実が明らかになるほどに、いよいよ深まっていく謎。容疑者が落ちない理由を知った静川は…。
著者等紹介
くわがきあゆ[クワガキアユ]
1987年生まれ、京都府出身。京都府立大学卒。第8回「暮らしの小説大賞」を受賞した『焼けた釘』(産業編集センター)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
324
くわがきあゆさんのサイコサスペンス・ミステリーの第2作。著者は現代社会にいそうな、おかしな変な人々、概ね自己中で人の迷惑を顧みず嫌がられたり心を傷つけたりする事に無神経な奴らを書かせたら天下一品の腕前だと思いますね。本書でも迷惑この上ない男と女の姿を描き出し、その上で二人に関係する人物の内面を深く掘り下げると以外意にも…。という事で本書はフーダニット(誰が)ではなくホワイダニット(なぜ)の動機を重視するミステリーで、タイトルもヒントになっていますが単純そうに見えて本職の刑事も悩む複雑な謎が描かれています。2023/07/21
モルク
140
同僚殺害容疑で逮捕された工藤。工藤に憧れ彼の全てをまねてストーカー行為までする被害者を刺殺した工藤。そこまでされればなと工藤に同情さえしていたが、過去に事故として処理されてきた複数の事案に彼が繋がっていることがわかり様子が変わってくる。完黙を続ける工藤。捜査する新婚の刑事涼吾がその核心に触れたとき…。そして更にラストではその涼吾も…うわっ!強烈!歪んだ愛を突っ走った結果がきつい。まわりの登場人物たちもぶっ飛びのサイコパスだらけ。工藤の母親の気持ちがなんとなくわかる。くわがきさん2作目だが、次作も期待!2022/11/25
うっちー
139
最後のオチが一番強烈でした2022/08/14
ガチャ
96
度を越えている。 愛を越え、執着を越え、異常者の域に入るとは、 このことですよね。 その人のようになりたいまではわかるけど、 その人になると取った行動が異常だ。 そこで起きた殺人事件、容疑者にも同情すり所があると思いきや、この男もどこかおかしい。 必ずしもこれが正解というわけではないから、 色々な相手への愛情というか思いがあるとは思うけど、これは怖すぎる。それは逃げたくもなりますよ。好きすぎて、つい取ってしまった行動があったとしても相手を怖がらせるほどって。 最後に出てきた夫婦は離婚決定ですよ。2023/02/05
そら
93
私は犯人と動機が全くわからなかったし、「え?そこなの!?」と最後までページをめくる手が止められなかった!男が男を完コピしようとしてこられたらかなり怖いし、場を沸かすことだけに執着して策士となる美女にも引く。で、冒頭の殺人事件容疑者の取り調べとどう繋がっていくのか?結末は予想外で、これだけ想われたら一般的には理想なのでは?と思うが、これはこれで逃げられない恐ろしさ。そして、タイトルと装丁の意味を思い知る…。最後の同類のオチにも驚愕。2022/11/10