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目次
第2部 幻想のうちに崩壊した「自由の王国」―ヘーゲルの予言はなぜマルクスよりも正確だったのか(自由市場経済へ向かう「新しい力」;民主主義の弱点・権威主義の美点;近代をのし歩いた「悪魔」;「自由の王国」のなかで)
第3部 歴史を前進させるエネルギー―「認知」を求める闘争と「優越願望」(はじめに「死を賭けた戦い」ありき;近代史に登場した「最初の人間」;共産主義がつきつけたファウスト的「交換条件」;「赤い頬」をした野獣―「革命的情勢」はいかにして生まれたのか;人間の「優越願望」が歴史に与える影響;歴史を前進させる「原動力」;「日の当たる場所」を求めて戦う人間と国家)
第4部 脱歴史世界と歴史世界―自由主義経済成功に絶対不可欠な「不合理な“気概”」(冷たい「怪物」―リベラルな民主主義に立ちはだかる「厚い壁」)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
63
本シリーズの第2巻。本書では主に全巻の流れを汲み、その後の歴史を鑑みてルクス=レーニンよりも、ヘーゲルの世界観が的を得ていことを取り挙げる。しかし、ヘーゲルが唱えた『全体主義』は権威主義や独裁主義(ファシズム)という悪魔の落とし子を産んでしまう。その淵源はプラトンが唱えたギリシャ語の“thymos”(気概)であると著者は分析する。『気概』には2種類が存在し、一方は『優越願望』であり、他方は『対等願望』とした。2016/01/10
さきん
27
物質的安定、経済的安定に加え、気概という一種の正義感や承認欲求が満たされることも重要という説明は共感。民主主義ありきではなくても、富の偏在をある程度抑え込むには、税制や規制に加えて、その判断基準となりうる共通の道徳観念が必要になる。民主主義体制は本書の説明を読む限り、限られた条件の下でしか正常に機能しないように思われる。歴史の終わりへという普遍的で自由で平等で豊かな民主主義社会へ至るという方向づけ自体、進歩史観という点で自由主義やマルクス史観とそう変わらず、無理がある。2022/04/11
Miyako Hongo
24
ホッブスは下らない面子で殺し合う人間が平和に暮らすために君主が必要と考えた。ロックはその君主は万人によって選ばれるべきと考えた。ヘーゲルは、面子こそが大事だからこれを認めあう世の中が必要と考えた。非合理な貴族や武士の誇りが金の実用性に負けて資本主義国家が成立。その事への嘆きがニーチェのニヒリズムにある。キリスト教の神の前の平等が現実化したのが自由(機会均等)主義。資本主義の過渡期には、民主主義より独裁政権のほうが効率がいい。□倫理社会の授業って、こういう事を教えてたんだと四半世紀以上過ぎて悟る(遅っ)2014/09/15
うえ
11
歴史の終わり、というフレーズばかりが注目されがちだが、優越願望や気概、そして承認願望(認知欲望)という観点から思想と歴史を読み返す試み。特に承認願望と民主主義というテーマは現在のフクヤマに於ても継続されたもので、評価される部分。出版当時、全く本書が「読まれていなかった」のではないかと思わせる。勿論当時はまだ社会主義の理想は終わっていないという思いが知識人の中に強かった為か。ヘーゲル=コジェーヴの視点から、目的をもった政治的創造物(国家)と国家以前から存在している道徳的共同体(民族)をきっちり分別している。2020/05/17
白義
10
中巻では政治経済的考察を少なめに、哲学的人間学から歴史を進歩させる原動力を説明しようとしている。人類の承認(認知)への欲望と、誇りや自尊心といった気概こそが歴史を動かし、この二つを満足させる唯一の体制が、リベラルデモクラシーだとか。特に気概という精神を承認欲のさらに根源にあるものとして論じたところが、ヘーゲル=コジェーヴとは違うフクヤマならではの部分だろうか。読んでいると、プラトン以降の哲学やウェーバー以降の社会学を我流で具体例も豊富にまとめた総合と網羅の意欲がうかがえて案外面白い2012/06/14
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