内容説明
戦乱の「歴史」、盛者必衰の「物語」、時代の「大転換」―「平家物語」には日本人の姿が見える。
目次
序章 「大変革期」を活写した人間劇
第1章 平氏こそ日本型「家族」の理想像
第2章 滅亡を招いた平家の「集団力学」
第3章 脈々たる民族的「感性」の源泉
第4章 物語創作の「謎」に迫る
第5章 源平台頭の原因は「僧兵」だった
第6章 神と仏を併存させた日本人の「英知」
第7章 「武」の源氏に敗亡した「文」の平氏
第8章 「権力と人間」の宿命的な構図
著者等紹介
谷沢永一[タニザワエイイチ]
1929年、大阪市生まれ。1957年、関西大学大学院博士課程修了。専門は日本近代文学、書誌学。現在、関西大学名誉教授。読書評論、社会時評など幅広い分野で執筆を展開。その歯に衣着せぬ発言には定評がある
渡部昇一[ワタナベショウイチ]
1930年、山形県生まれ。1955年、上智大学大学院修士課程修了。ドイツ・ミュンスター大学、イギリス・オックスフォード大学に留学。フルブライト招聘教授。現在、上智大学文学部名誉教授。Dr.phil., Dr.phil.h.c.深い学識と鋭い評論で知られる。第24回エッセイストクラブ賞、第1回正論大賞受賞
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感想・レビュー
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GaGa
37
平安時代の大変革期を解説した本。平家のスタンス、源氏のスタンスとわけて解説しているところは他の解説書ではないところ。プラス僧兵というもののスタンスも開設されており、この時代を学んでいる人にはためになる本かもしれない。2013/01/15
るか (miwa)
2
最近読んだ他の本やネット上で目にする説は昔からの通説を覆し最新の学説をごり押しし、特に平家物語は史料として全く信用ならないというスタンスが多かったが、これは著者二名が文学者なだけあって平家物語絶賛w この部分は作り話かもしれないが、この事実とこの事実があったのは確かで尚且つ作り話と実証は出来ない、ならばこんな話があったと思う方がいい、という割り切った考え方には共感できる。800年も前のこと、いくら史料をかき集めても人の心まで正確に理解するのは不可能だし、最新の研究成果だっていつかは覆されるかもしれないのだ2013/01/29
Akiko Sato
1
内容的には難しいかも。しかし、少しずつ読んでいけばそうなのか、なるほどわかる。たとえば、「平家にあらずんば人にあらず」という有名な文句。これは平時忠が言ったとされる言葉だが、時忠が実は酒乱でつい言ったのではないか?とか。じっくり読むぶんにはおもしろい。2013/01/18