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内容説明
明治最大のベストセラーとして日本産業化の国民的教科書となった『西国立志編』の巨大な影響を、翻訳者中村正直を軸に跡づけ、イタリア・中国などとの比較を通して、思想が文化の境を越えて運動する姿を立体的に描きだす。
目次
第1部 洋学に転じた漢学者中村正直(明治日本を造った一冊の書物;西洋の衝撃と東アジア ほか)
第2部 『西国立志編』とその余響(都落ち;合衆国の大頭領 ほか)
第3部 『セルフ・ヘルプ』から『クオレ』へ(三点測量へ;イタリア立志編の誕生 ほか)
第4部 東アジアにおける自由と自主独立思想の運命(中村の漢文著作の啓蒙的意義;「新機器ヲ発明創造スル人ヲ論ズ」の序 ほか)
著者等紹介
平川祐弘[ヒラカワスケヒロ]
1931年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了、文学博士。大手前大学人文科学部教授、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
2
スマイルズ『西国立志編』が日本・中国・イタリアの「近代」にいかなる影響を与えたを考察した快著。スマイルズの「自助」が各国でどのように受容されかつ「土着化」したのか、日本とイタリアの事例は似た近代化の道程を歩んだ国家として示唆に富む。日本で『西国立志編』を訳したのは中村正直であるが、彼は幕府直属の儒者であり維新後は同時代を代表する洋学者であった。当代一流の漢学者はその豊かな漢学的素養で「自助」と「自由」の気風を近代日本に吹き込んだ。江戸から続く豊かな文化的素養は明治日本にも続いていたのである。2024/07/12