感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
天地と人間の創造を説明する創世神話の中でもドゴン神話は神話を伝える言語の発生も伝える。アンマからユルグ(単性/不完全)とノンモ(両性/完全)が生まれるが、もう一方の性を求めるユルグは大地と交わり経血で大地を汚したという。この出来事でユルグは夜や不毛や死の言葉、ノンモは昼や浄化や豊穣の生の言葉という対立的かつ相補的な2項関係を担う存在となる。本書では22のカテゴリーに分けられ266の母記号からなる記号(トング)と絵(トンイ)を操る話者が、宇宙卵の異伝も含めた神話を自在に再生する様が、豊富な図版で紹介される。2024/03/08
生きることが苦手なフレンズ
1
複雑な概念が、オクラや鯰、題名にもなっている青い狐など具体的な事物に埋め込まれていて、暮らしの描写などはほとんどないのですが、日常生活と、その中にあらわれる神話みたいなのがありありと思い浮かびます。平衡状態的な「双児」の世界から狐によってもたらされた変動する世界への流れ、そして、混乱をなんとか収拾しようとする努力の神話である点で、面白いです。私たちが、これを理想化された社会像だと批判するくらいにはメタ的な視点もあるような・・・。2013/07/21