出版社内容情報
〈内容目次〉隕石と鍛冶術 鉄器時代の神話 性化された世界 大地母 冶金術の儀礼と秘儀 バビロニアにおける冶金術「火の親方」 神的な鍛冶師と文化英雄 中国の錬金術 他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
大地は生殖と豊穣を表すゆえに、古代冶金術は大地から胎児を取り出す産科学とアナロジーをなすと著者はいう。母なる大地の聖性を分有する鉱物に関わり金属を取り出す冶金は、鉱物の成長を助ける行為でありかつ自然の大いなる時間に参入する労働行為でもある。後に現れる錬金術は、前者の物理的な操作を実験室の化学に近代化していくが、その一方で、後者を「賢者の石」や霊薬を取り出す錬金術師自身が聖性に参入するイニシエーション過程として象徴化する。ユングが心理的な個性化過程と捉えた錬金術の特徴は、本書において宗教学側から検討される。2021/07/22
生きることが苦手なフレンズ
0
あんまり絡みはないだろうけど、ハイデガーの技術論を思い出しました。 冶金という大地から「力」を取り出す技術を発明した人類がそれをどう世界の中で位置づけているのか、象徴の体系から分析しているというか、そこから技術の背後の思想を探るというか、そんなイメージを抱きました。2017/01/01