出版社内容情報
軍楽隊として戦意高揚に寄与したブラスバンドは、敗戦後は自衛隊や消防の吹奏楽、アメリカ軍駐留キャンプのジャズバンド、歌謡曲のバックバンド=歌伴、そして学校のクラブ活動として、脈々と受け継がれている。聞き書きもまじえて、大衆音楽の変遷をたどる。
まえがき 東谷 護
第1章 「ブラバン」の不思議――〈ブラスバンド〉の社会史をひもとく目的と視点 阿部勘一
1 「ブラバン」の不思議
2 再生産される「ブラバン」
3 大衆音楽としての〈ブラスバンド〉
4 〈ブラスバンド〉を論じるにあたって
第2章 世界のブラスバンド、ブラスバンドの世界 細川周平
1 ブラスバンドの二面性
2 植民地主義とブラスバンド
3 ブラスバンドの世界
4 日本のブラスバンドを比較して
第3章 軍楽隊と戦前の大衆音楽 塚原康子
1 軍楽隊前史――幕末の鼓笛隊と喇叭
2 陸・海軍楽隊の歩み
3 軍楽隊の教育とレパートリー
4 民間職業バンドの発生と展開
5 アマチュアバンドの展開
第4章 歌謡曲を支えたブラスバンド 東谷 護
1 それは「クラブ」から始まった
2 時代を超えて鳴り響くブラス
第5章 バンドマン・高澤智昌のライフヒストリー 高澤智昌/阿部勘一/東谷護
1 戦前篇
2 戦後篇
年表
あとがき
内容説明
学校の体育祭で記憶に残るブラスバンド部、スポーツ大会の入場行進の先頭でユニフォームに身を固めて勇壮な行進曲を奏でる吹奏楽隊、あるいは、無声映画の伴奏やチンドン屋、歌謡曲のバックバンド、酒場のバンドとして生活のなかで親しまれた楽隊…。明治期の日本への導入以来、象徴的には戦闘を告げるラッパのように、あるいは雨の神宮外苑の学徒出陣式のように、軍楽隊として戦意高揚に寄与したブラスバンドは、敗戦後は警視庁・自衛隊・消防庁などの音楽隊として、アメリカ軍駐留キャンプのジャズバンドとして、歌謡曲のバックバンド=歌伴として、場所と姿を変えて現在にいたっている。戦前から現在までのバンドマンの聞き書きも交えて、音楽文化の社会史を分析する。
目次
第1章 「ブラバン」の不思議―“ブラスバンド”の社会史をひもとく目的と視点
第2章 世界のブラスバンド、ブラスバンドの世界
第3章 軍楽隊と戦前の大衆音楽
第4章 歌謡曲を支えたブラスバンド
第5章 バンドマン・高沢智昌のライフヒストリー
著者等紹介
阿部勘一[アベカンイチ]
1971年、秋田県生まれ。名古屋大学経済学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。淑徳大学国際コミュニケーション学部専任講師。専攻は社会経済学。日本吹奏楽指導者協会会員・認定指導員
細川周平[ホソカワシュウヘイ]
1955年、大阪府生まれ。東京芸術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。東京工業大学大学院社会理工学研究科助教授。専攻は大衆音楽研究、近代日本音楽史
塚原康子[ツカハラヤスコ]
1957年、北海道生まれ。東京芸術大学音楽学部楽理科卒業、同大学大学院音楽研究科博士後期課程修了。昭和音楽大学助教授。専攻は近代日本音楽史
東谷護[トウヤマモル]
1965年、神奈川県生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得満期修了。早稲田大学文学部、成城大学文芸学部講師。専攻は音楽社会史、文化研究
高沢智昌[タカザワトモマサ]
1922年、東京都生まれ。旧陸軍戸山学校卒業。戦後、フルバンド「クラックスター」を結成、主宰。服部良一事務所に所属し、戦後を代表する歌手の伴奏をつとめる。作曲を山田耕作に師事。日本楽劇協会理事、事務局長などをへて、現在、日本吹奏楽指導者協会関東甲信越支部長
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