出版社内容情報
【著者について】
著者アーマンは、今話題の書『原典 ユダの福音書』(日経ナショナル･ジオグラフィック社発行)に小論を寄せている、現代アメリカを代表する聖書学者の一人です。
内容説明
イエスは死を前にして錯乱したのか？毒を飲んでも平気だなんて言ったのか？“三位一体”の教義は新約聖書の中にはっきり書かれているのか？そもそも新約聖書にイエスが「唯一神」だなんて書いてあるのか？―多くの誤謬と捏造に満ちた聖書の謎をめぐるノンフィクション。
目次
１ キリスト教聖書の始まり
２ 複製から改竄へ
３ 新約聖書のテキスト
４ 改竄を見抜く―その方法と発見
５ 覆される解釈
６ 神学的理由による改変
７ 社会的理由による改変
終章 聖書改竄
著者等紹介
アーマン，バート・Ｄ．［アーマン，バートＤ．］［Ｅｈｒｍａｎ，Ｂａｒｔ Ｄ．］
ノース・キャロライナ大学宗教学部長。新約聖書、原始キリスト教会、イエス伝の権威である
松田和也［マツダカズヤ］
翻訳家（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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みき
25
言われてみれば当たり前なのですが、写本ってオリジナルと異なっちゃいますよね。というところからスタートし本当に聖書に何が書いてあったかを解き明かそうという本。こういった学問があることも凄いしキリスト教徒がこういった学問ができるのが懐の深さでもありそう。聖書の改竄は今も進んでいるとは言い得て妙ですね。2021/12/14
かんやん
25
新約聖書は一字一句神の霊感に導かれて書かれた聖なる書物ではない。実に人間臭いものなのだ。現存する写本間の相違点は、新約聖書に出てくる単語の数より多い！本文批評とは、失われたオリジナルを探求する学問であり、その探究の過程で単なる写し間違いではない、意図的な改竄が山のように出てくる。なんとあの有名なエピソードも！と驚かされる。改竄の理由は神学的・社会的だったり、単なる辻褄合わせや善意だったり。異文を比べてあれこれ学術的に推理する著者は、まるで安楽椅子探偵で、手元の新共同訳を引きながらの、手に汗握る読書だった。2019/03/13
井上裕紀男
23
紙が無かったころの古典に対しての疑問、書かれていることは本当に正しいのか。本書は聖書にも正面から向き合って内容を精査していく。 時代によって書き写すレベルが異なるというのは仕方がないような気もしますが、改ざんや書き足しとなってくると良くない。アーマン氏が聖書学者だけに記載された内容は重く受け止めたい。 挿絵のように掲載されたヴァティカン写本やパピルスを見ると歴史の長さを感じますが、イエス氏の話を直接書き記すことができていたならと思ってしまいます。2021/06/19
Yukicks
12
聖書は原本というものがそもそも存在せず、残っている写本もほとんどといってもいいぐらいの写本が誤字脱字や意図的に改竄されたものである。現代と比べると識字率が極端に低いことが写本を繰り返す上で誤字脱字をよりいっそう進めたこと、マルキオン派やグノーシス諸派、正統派それぞれが意図した思想にとって都合のいいように写本の一部を改ざんしたことなどが証拠と共にわかりやすく書かれている。三位一体、女性の立場、イエスの慈悲深い描写、ユダヤ人差別など。2012/01/11
彬
9
世界のベストセラー聖書について、その内容が当時に比べどれほど変化した可能性があるか、また特定された変更箇所とはどこかについて。特に初期キリスト教において素人が写本をする過程での誤記、信仰上の問題からの改変と、神による啓示ゆえの絶対性が崩れていくのを読むと、著者が信仰上の問題に直面したのも頷ける。特に誤記であると特定されている部分に関しては重要な三位一体を根本から崩すような箇所もあるため、聖書学が一般に認知されると敬虔な信者にとっては、そして教会にとっても難しい問題となるのではないか。2013/09/08
