出版社内容情報
"埋もれていた「子ども性」Childnessを掘り起こし、新たな機能を与え、「児童文学とはいかなる文学か」という難問に果敢に取り組んだ、刺激的論考(Signs of Childness in Children,s Books 1997)を全訳紹介します。
日本の読者の皆様へ
児童文学とは何かを明らかに―子ども本の「子ども性」のしるし(猪熊葉子)
第1章 子どもの文学の独自性
女性文学と子どもの文学の比較/子ども時代をどう考えるか/フィクションのなかで構築される子ども時代/子どもの文学の独自性/1章のまとめ
第2章 子どもの文学とは何かその定義
ピーター・ハントによる定義とその問題点/子どもの文学を位置づける―作家たちの言い分/子どもの文学の定義リスト/定義6の有効性―「子どもの文学」と「人の子どもの文学」の違い/筆者が提案する「子どもの文学」の定義/筆者の定義の長所と補足/補足(1)子ども時代はいつ終わるのか?/補足(2)子ども時代は大人になっても生き延びるか?/補足(3)子どもの本を読む大人は逃避主義者か?/「子どもの文学」と「子どもの読み方」の三つの特徴―「子ども」だけにかかわる問題か?/2章のまとめ
第3章 批評用語「子ども性」の提唱
英語に欠けている概念の発掘―「子ども性」/「子ども性」という語の意味/子どもの子ども性/大人の子ども性/テクストの子ども性/批評用語としての「子ども性」/子どものありようを表現する語彙の貧困さ/「子ども」の概念にひそむ問題点―「子どもらしい」という語を手がかりに/作家がテクストにもち込む子ども性―アーサー.ランサムの場合/「子どもの子ども性」と「テクストの子ども性」の断絶/子どもにかかわる仕事に欠かせないこと―子ども性の再想像/青春期の文学/3章のまとめ
第4章 記憶と語り1自伝としての子どもの本
直線的な語り/記憶と子ども時代/記憶が紡ぐ物語/自伝としての子どもの本/4章のまとめ
第5章「子ども性」のしるし―作品分析の方法など
「子ども性」の多様さ/「子ども性」の概念を明確化するためのさまざまな問い/「テクスト」と「読むという行為」―子どもの文学は一般文学から分かたれるか否か/「テクストの子ども性」と「読者の子ども性」/テクストのなかの「子ども性」を探る/五章のまとめ
第6章テクストとその子ども性
子ども不在の子ども性/「子どもの文学」と「子ども時代の文学」/子ども性の再想像/6章のまとめ
第7章「若者だけが、そのような瞬間をもてる」
青春期とその文学/成長の二重性―「子どもでいること」と「大人になっていくこと」/「青春期の文学」の代表的な二つの主題/七章のまとめ
用語解説
索引"
内容説明
だれのこころにも「Childness(子ども性)」はある。きっと会える、もうひとりの自分に。
目次
第1章 子どもの文学の独自性
第2章 子どもの文学とは何か―その定義
第3章 批評用語「子ども性」の提唱
第4章 記憶と語り―自伝としての子どもの本
第5章 「子ども性」のしるし―作品分析の方法など
第6章 テクストとその子ども性
第7章 「若者だけが、そのような瞬間をもてる」
著者等紹介
ホリンデイル,ピーター[ホリンデイル,ピーター][Hollindale,Peter]
1936年、英国ダービシャー生まれ。ケンブリッジ大学卒(英文学専攻)。ブリストル大学大学院修了。ヨーク大学で長年教鞭をとり、1999年定年退職。現在は執筆・講演活動に専念。専門は、児童文学および英国演劇
猪熊葉子[イノクマヨウコ]
1928年生まれ。聖心女子大学名誉教授。日本国際児童図書評議会会長。聖心女子大学大学院を経て、1957年オックスフォード大学留学。トールキン教授の指導を受ける。1990年白百合女子大学に児童文学専攻の大学院設立に伴い、聖心女子大学から移籍。90年定年退職。主として英語圏の児童文学理論、評論、翻訳に携わる
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