さまよえる英霊たち―国のみたま、家のほとけ

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  • サイズ B6判/ページ数 301p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784760122615
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0021

出版社内容情報

日本近代が国に殉じた人々を語る語彙として、「英霊」は発明された。「英霊」が国家と「国民」との共犯関係のなかでどのように現実性を帯びていったかを問い、生死をめぐる近代的世界観のありようを内側から照らし出す執念の論考。九州草莽の民俗学者田中丸は2000年に急逝したが、彼の「正面突破の民俗学」は柳田の「祖霊神学」をもゆるがす。気鋭の研究者による研究展望を付す。著者撮影写真約200枚収録。

壱▼「英霊」の発見/英霊供養/嗚呼警神 弐▼靖国神社をめぐって(靖国神社臨時大祭記念冩真帖/鎮霊の儀を拝して/各県護国神社への賊軍合祀)/国と民俗行事(初詣で/端午節句と海軍記念日)/英霊祭祀の周辺(墓碑・位牌・戒名/顕彰碑/弔いあげ/遺族年金と弔慰金)/語られる英霊(妹たちの力/死の伝えられ方・語られ方/「死に甲斐」の形成と死後顕彰)/民俗学徒として(イエの霊、クニの霊/結構なご趣味/英霊と国殤) 参▼顕彰と賛美の「ことば」(解説 重信幸彦)/宗教の近代(解説 関一敏)

内容説明

祀られる戦歿者をめぐる声なき声のフォークロア。在野の民俗学者執念の遺作。

目次

英霊と祖霊のはざまから
「英霊」の発見
英霊供養―長崎県壱岐郡の事例を中心に
靖国神社をめぐって
英霊祭祀の周辺
語られる英霊
国と民俗行事
民俗学徒として
嗚呼警神増田巡査―殉職英霊の祭祀と民間信仰
バッソンサンのこと
落人伝承と祟り神―唐津周辺のキシダケバッソン
顕彰と賛美のことば―「空閑少佐」という美談から
宗教の近代

著者等紹介

田中丸勝彦[タナカマルカツヒコ]
1945年、佐賀県唐津市出身。国学院大学で民俗学を学び、文化庁嘱託として『日本民俗地図』編集などに従事。その後、地元で会社勤務のかたわら研究を続けた。近年は、九州産業大学非常勤講師、国立歴史民俗博物館共同研究員をつとめるとともに、民俗学・人類学・歴史学・国文学・宗教学などの若手研究者による「青旗の会」を主催し、多くの同志とファンを得た。2000年、ライフワークである『英霊祭祀の研究』完成を前に急逝

重信幸彦[シゲノブユキヒコ]
1959年東京都出身。現在北九州市立大学文学部助教授。専攻は近代日常生活誌論・民俗学

福間裕爾[フクマユウジ]
1956年福岡県出身。現在福岡市博物館学芸係長。専攻は民俗学
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