パルマケイア叢書<br> 総力戦と現代化

パルマケイア叢書
総力戦と現代化

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  • サイズ A5判/ページ数 344p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784760111879
  • NDC分類 209.7
  • Cコード C3030

出版社内容情報

現代社会の政治的民主主義も福祉国家体制も,世界大戦期に構築された総動員体制,システム統合の延長線上にある。歴史学,哲学,教育学さらに文学までも視野に,国民国家動員の基盤にメスを入れる国際的共同研究の成果。

 方法的序論 総力戦とシステム統合               山之内靖
第1部 総力戦と構造変革
 ナチズムと近代化―ドイツにおける最近の討論    ミヒャエル・プリンツ
 戦争行為と国家の変容―第2次世界大戦における日本とアメリカ
           グレゴリーフレックス/レイモンド・A・ジュソームJr.
第2部 総力戦と思想形成
 規律的規範としての資本主義の精神―大塚久雄の戦後思想
                         ヴィクター・コシュマン
 「市民社会」論と戦時動員―内田義彦の思想形成をめぐって    杉山光信
 母の国の女たち―奥むめおの<戦時>と<戦後>         成田龍一
 ポイエーシス的メタ主体の欲望―三木清の技術哲学        岩崎稔 
 教育における戦前・戦時・戦後―阿部重孝の思想と行動      大内裕和
第3部 総力戦と社会統合
 既成勢力の自己革新とグライヒシャルトウング
 ―総力戦体制と中間層                     雨宮昭一
 日本の戦時経済と政府―企業間関係の発展            岡崎哲二
 産業報国会の歴史的位置―総力戦体制と日本の労使関係      佐口和郎
 総力戦体制と思想戦の言説空間                 佐藤卓己
 人名索引

内容説明

階級社会の行き詰まりに現れた新国民統合システム―総力戦体制。個性なき豊かな時代を招来した合理的機構に対峙して、個性的なアプローチを試みる国際共同研究の成果。

目次

第1部 総力戦と構造変革
第2部 総力戦と思想形成
第3部 総力戦と社会統合

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

36
大戦を完遂するため、経済、技術、教育、文化、社会のあらゆる場面で構築された「総力戦体制」。1945年の断絶よりも、20世紀を通しての継続性に注目した論考集。◇その源は、恐慌への不安や格差の拡大、世界経済の一体化のはじまり…。村の共同体はバラバラでセーフティネットもなく、実際、もうどうしようもなくなっていたのだ。海外の研究者によるパートもあり、全体主義自由主義かかわらず世界共通の課題だったこともわかる。◇国家の課題への貢献度は同じと女性、労働者の立場が改善されてく。戦争、占領を奇貨として頑張った人々の存在。2015/10/19

5
戦中の総力戦体制下における近代化・合理化が、戦後日本の制度や発展にも引き継がれたとする、連続性を様々な角度・対象について論じる諸論文。 三木清について論じた岩崎稔論文p.193「こうした潮流にあえて身を投じた知識人の態度は、たんに時局への迎合ばかりでなく、同時にファナティックな日本主義・精神主義に対する対抗的言説をめざす点で両義的な戦略であった。…しかし、逆説的にもまさにその抵抗の努力そのものが、戦時動員体制にとっては、…有効な推力となってしまった。」2024/08/10

八八

3
積んだままになっていたものをやっと読み終えた。山之内靖から始まる総力戦体制論を打ち出した著作である。総力戦による国家の変容や思想面への影響、社会統合などを扱い、それが現代化(近代化との違いが私には勉強不足で理解できていない)にどのように影響を与えたかについて論ずる。個人的にはグレゴリー・フックス/レイモンド・A・ジュソーム.Jr、総力戦体制論の先駆者である雨宮昭一、岡崎哲二、佐口和郎の4論文が興味深いと感じた。2018/08/29

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