出版社内容情報
終戦直後,図書館に勤める一人暮しの娘のところへ父親がひょっこり戻ってくる。実は,父親は原爆で死んでいるのだが…。そこで二人がくりひろげる珍妙な生活とは!? 笑いと涙の中にヒロシマを見る。「私の一生はヒロシマとナガサキを書きおえたときに終わるだろう」という井
原子爆弾は、日本人の上に落とされたばかりでなく、人間の存在全体に落とされたものだ。あの被爆者たちは、核の存在から逃れることのできない二十世紀後半の世界中の人間を代表して、地獄の火で焼かれたのだ。だから被害者意識からではなく、世界54億人の人間の一人として、あの地獄を知っていながら、「知らないふり」することは、なににもまして罪深いことだと考えるから書くのである。おそらく私の一生は、ヒロシマとナガサキを書きおえた時に終わるだろう。この作品はそのシリーズの第一作である。 井上ひさし



