内容説明
品川宿門前町にある立場茶屋おりきは、庶民的な茶屋と評判の料理を供する洒脱で乙粋な旅篭を兼ねている。二代目おりきは情に厚く鉄火肌の美人女将だ。理由ありの女性客が事件に巻き込まれる「さくら舞う」、武家を捨てて二代目女将になったおりきの過去が語られる「侘助」など、品川宿の四季の移ろいの中で一途に生きる男と女の切なく熱い想いを、気品あるリリシズムで描く時代小説の傑作、遂に登場。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となった『蘇鉄のひと 玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
86
品川宿門前町にある立場茶屋"おりき"が舞台の時代小説です。場所は、江戸六地蔵で有名な品川寺のあたり。何回か訪れている地ですので、とても身近に感じられます。主人公は、武家を捨てて二代目女将となり、"おりき"と名乗るようになった情に厚い美人女将です。品川宿の四季の情景や行事を背景に熱い人情と男女の機微を描いています。"じりじり舞い""おぼおぼしい笑い""降りみ降らずみだった空が""喜撰の苑香"といった、他の時代小説にはあまり出てこない言葉が使われていて、それがある種の品をもたらしている小説だと思います。2023/12/13
Walhalla
34
『立場茶屋おりき』シリーズ1作目です。品川宿門前町にある「立場茶屋おりき」の女将おりきさんが主人公の物語です。描写に繊細さを感じることができて、とても上品な作品ですね。「人は情の器物」という言葉が度々使われていますが、女将おりきさんの心意気を文字で表現したような、美しい言葉ですね。全5話の連作短編集でしたが、「秋の別」のお話が特に感動的で良かったです。次作も楽しみです。2020/03/31
み
33
感想を読んで気になった作品、初読みの作家さん。カッコいい女子のお話し、楽しみました♪シリーズ読み進めます(^.^)2016/04/13
ろば
33
モヤモヤしてた二代目女将のおりきの謎が最後になって解明されました(^^) シリーズ長そうだけど、合間合間に読みたくなる本かも。これから積みます(笑)2016/02/08
坂城 弥生
30
再読だったと今読書メーターをみて気づいた。通りで知っているような気がする話が多かった訳だ。 凛とした女性像が描かれていて、読んでて気持ちがよかった。2019/06/11