内容説明
川上優は、ある日街のなかで懐かしい「形」に出会う。それはもうこの世にはいない、京子の形と全く同じものだった。優は生まれつき特殊な感覚をもっていた。それは共感覚と呼ばれ、全ての匂いを視覚的に形として認識してしまうもので、指紋のように同じ「形」は存在しないはずだった。優が我を忘れて京子と同じ「形」を追いかけていくと、そこにいたのは高校時代の親友・霧島と見知らぬ女の子だった…新芥川賞作家が描く不思議で切ないラブストーリー。
著者等紹介
伊藤たかみ[イトウタカミ]
1971年神戸市生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。在学中に「助手席にて、グルグルダンスを踊って」で文藝賞受賞。2000年「ミカ!」で小学館児童出版文化賞、2006年「ぎぶそん」で坪田譲治文学賞、「八月の路上に捨てる」で芥川賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
172
★★★★☆ 女性1人に男2人の微妙な関係、その女性はある謎を残したまま事故死。主人公の男性は匂いが形になって見える共感覚があり、死んだ女性と同じ形を持つ女性とある日知り合いになる。。と始まる話です。作品中で へぇ〜!となったのが、人を愛してるって感情は一種類できてるのではなく複雑に色々な気持ちが一緒になってて、愛情の裏には憎しみがあったり邪魔に感じたりだって。。あと、ある人がする仕草を見ると自然に同じ事をしてしまう場合は心理的には好意があるってこと。鼻をかけば鼻をかく、カップを手に取れば同じく手にする。2016/10/23
しんごろ
145
簡単に言うと奇妙な三角関係の話というべきか。主人公の優が匂いを形で見る共感覚という能力を持っている。その共感覚を含めてサスペンス的ミステリーの要素がはいり、うーむ、切ないと言えば切ないが、話がわかりにくいんだよね。主人公を含めて登場人物が好きでなくて、入りこめなかった。ただ、七海だけは雪が溶けて春が来た感じで良かったかな。優と霧島、喧嘩するほど仲が良いというから、この先も親友という関係が続くんだろうな。こんな友情関係、恋愛関係あってもいいと思うけと、自分には合わなかったかな。2021/01/28
ひらちゃん
57
京子の気持ちなんて分かるもんじゃないって。ぐるぐると死んだ人間の気持ちを考えてばかりで、もっと前を向けよと言いたくなる。匂いが形となって見える共感覚で始まって最初は面白かった。途中、誰の視点で書かれているのか迷ったりして残念。共感覚をもう少し掘り下げてみて欲しかった。ラブストーリーに絡ませ過ぎな気がする。2018/07/02
ふぅわん
35
「雪」舞落ちれば溶けてしまう儚さ。東京を舞台とした切ないラブストーリー。刺激によって、それに対応する感覚(聴覚)とそれ以外の他種感覚(視覚など)が同時に生じ形としてみえる心が形で読み取れる共感覚の持ち主。少しわかりにくい設定だからか、自分の心の問題か、うまく言葉がまとめられない。1年たった365日、たった365日なのか、そうでもないのかは人それぞれだが、一片の雪のように一生は儚いものなのかもしれない。雪のタイトルがつく曲も切ないものが多いなぁ。私の心も雪模様なのかな。別の著書でも雪の華作品あり読んでみよう2019/02/01
hit4papa
19
匂いを視覚的に認識する共感覚の持ち主を中心に、せつない系ラブストーリーが展開されます。過去と現在、別人であるにもかかわらず同じ「形」を持つ二人の女性に惹かれる主人公。共感覚で結びつけられた男女の出会いが、登場人物たちの関係性を徐々につまびらかにするという趣向です。所々でこの共感覚の表現が使われているのですが、物語をひっぱっていくものではなくて味付け程度。ラストにはいい味だしますが、何故、本作品に共感覚を持ち込まなければならないかは疑問です。2016/08/17




