内容説明
御留守居役を勤める五千石の旗本・坂東の側室綾乃は、坂東に酷い仕打ちを受けていたが、雪の降るある夜、意を決して家を飛び出した。坂東の手下から追われている途中、偶然助けてくれたのが札差の市三郎であった。しかし、市三郎に匿われた綾乃の平穏な日々は、長くは続かなかった。坂東から市三郎の店に執拗な嫌がらせが始まったのだ…。江戸の金融崩壊を背景に、市井に生きる男と女の心の綾と不屈の闘いを見事に描き切った時代小説の傑作長篇。
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
昭和26年、東京都生まれ。国学院大学文学部卒業。中学校教員のかたわら、時代小説を執筆。平成2年、「夜の道行」で、第12回小説推理新人賞を受賞
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感想・レビュー
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ラブミーテンダー
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解説でのべた褒めが気持ち悪かった。それほどの出来ではないと思うのだが。面白くないとは言わないが、人には進めにくい。時間があれば呼んでみれば、という感じかな。2013/11/05
Pivoine
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札差と武士との間で行われるお金の貸し借りのお話がベースなので、金利などの小難しい話が出てくる場面が多々ありますが、なかなかわかりやすく書かれていました。武士って、身分上は上でも、下っ端になればなるほど、経済的には苦しかったのね、と改めて思いました。結末は・・・う~ん。めでたしめでたし、とは言い切れませんでしたが、市三郎の懐の深さ、札差としての仕事っぷりに感激しました。2012/06/26
好奇心
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時代劇に頻繁に登場する商売に口入屋、これは現在でいう職業紹介所、もう一つは札差これは、現代? 大名・旗本からの米買取業そして金貸しも兼業ていた、しかしその元となるお金は自前経営もあったようだが、金主がいたとのこと、幕府の留守居役の権力の大きさを知った、蔵宿師(いい言葉だと交渉人・弁護士)悪く言えば恐喝を生業とする人、札差の嫁に旗本の娘がなる、当時としては晴天の霹靂だったのでは?江戸の市井に起こる札差の生きざまを楽しく読ませて貰った 2023/10/03
snowflake
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歳月がひとを変えたにしても、その剣士が、今度の勝負では札差市三郎に敗れた。2023/06/14