内容説明
母語によって自らを表現する権利と地域社会にアクセスする権利―。この二つの側面から、異言語間の相互理解の問題に取り組んでいる気鋭の研究者たちによって、在日コリアンの言語生活をめぐる最近の様相が生々しく描き出される。基本的な言語権を守るための、偏狭なナショナリズムや少数派の切り捨てに対峙するための共棲の生態図として、また、「民族学校」の沿革とその教育内容を具体的に報告するものとして非常に貴重な書となるであろう。
目次
1 在日コリアンの言語使用意識(在日コリアンの言語使用意識とその変化―ある民族学校でのアンケート調査結果から;在外韓国人の言語生活;「在日」の言語意識―エスニシティと言語)
2 在日コリアンの言語使用実態(残存韓国語語彙の様相―ある在日2・3世の場合;在日コリアン1世の否定表現の運用;帰国子女のコード・スイッチングの特徴―在日1世と韓国人留学生との比較を中心に;言語景観にみえる在日コリアンの言語使用―新来者の登場がもたらしたもの)
3 在日コリアンの言語計画(韓国系民族学校の事例―白頭学院建国幼・小・中・高等学校の場合;民族教育の歴史と朝鮮学校における朝鮮語教育)
著者等紹介
真田信治[サナダシンジ]
1946年生。大阪大学大学院教授
生越直樹[オゴシナオキ]
1955年生。東京大学大学院教授
任栄哲[イムヨンチョル]
1949年生。韓国・中央大学校教授
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