内容説明
苦労して宿願を遂げ、若くして散った曽我兄弟の物語は、人々の同情を集め、中世を通して語り継がれ、歌舞伎にも取り入れられた。日本人の魂を揺さぶってきたこの敵討ちの歴史的真実と、物語を生み出した背景に迫る。
目次
真名本『曽我物語』が描く敵討ち(敵討ち前史;敵討ちへの道;敵討ちと曽我兄弟の最期)
『吾妻鏡』が描く敵討ち(『吾妻鏡』という歴史書;兄弟をめぐる武士たち;建久四年の狩りと敵討ち)
著者等紹介
坂井孝一[サカイコウイチ]
1958年東京都に生まれる。1990年東京大学大学院人文科学研究科国史学専攻博士課程単位取得。現在創価大学文学部助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鯖
17
鎌倉殿の13人に出番多そうなので再読。幼少時から石投げてくると思わなんだ。地元の話だから知ってるには知ってるんだけど、あんまよくは知らないので面白かった。坂井先生、永井路子さんは十番切りの背景に、御家人たちによる大規模な武力衝突があったのではないかという説。ただ坂井先生は時政が邪魔な伊東祐経を曽我兄弟に討たせた説、永井先生は大庭岡崎が首謀者で、曽我兄弟を家来扱いする時政にも私怨で突っ込んだけど、時政頼朝を討ち漏らし、でも北条もそこまでの力がなかったから曽我兄弟の敵討ちってことで痛み分けにしとこうという説。2022/05/28
眉毛ごもら
4
双騎見てすぐに曽我物語について知りたい!と思い手に入れた。物語である真名本曽我物語と歴史書である吾妻鏡を比較する本のため物語としての曽我物語と歴史としての曽我兄弟の仇討についてざっくりと学べる良書である。結論としてはどちらも虚構が入っており真実を見つけるのは難しいということではあったが、背後に鎌倉幕府内での権力争いが絡んでいるのではないかとの考察は面白く読んだ。鎌倉武士血腥い。 薄幸の兄弟の物語が昔から人々を惹きつけ、また刀剣乱舞の題材になったことで形を変えて生き続けていくのだなあと感慨深く感じた。2019/07/22
吃逆堂
4
いつまで説話云々の話が続くのかと思っていたら、終盤でいきなり陰謀史観めいた話にすっとんだ。その間を埋めてゆく学問的ダイナミズムは感じられない。数ある御家人相克の事件の中で、なぜ曽我兄弟の仇討が突出して説話的に語られるようになったのか、とか、語りの受け皿について掘り下げた議論もあってもよさそうに思うのだが。2015/03/20
こうず
3
同人小説のネタ探しとして。タイトル通り、様々な角度から曾我物語の史実性・虚構性を論じていて、このジャンルをよく知らなかった自分には新鮮で面白かった。が、終盤で曾我兄弟の仇討ち事件に隠された時政と頼朝の陰謀、みたいなものについて論じ始めたのは少し面食らった。著者の説自体はひとつの読み物として興味深かったが、この本の主旨からずれているような気もした。2015/07/27
nagatori(ちゅり)。
3
複数の文献を絡ませながら、裏からナナメから縦横無尽に検証を行い仮説を組み立てていく過程がゾクゾクする程楽しかった!『曾我物語』と『吾妻鏡』、私も読み比べてみたいなあ。永井路子氏の『つわものの賦』もぜひ、読みたい本に加えよう♪そうしよう^^)♪それにしても昔の豪族の苗字って今の地名とダイレクトに繋がってる人が多くて面白いわ~。2014/02/21
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