内容説明
いま現在、日本で絶滅が危惧されている生物種=絶滅危惧種、いわゆるレッド・データ・ブックに記載されているものは六〇〇種にも及ぶとされ、しかもその絶滅危機は、むしろ増大傾向にあるといわれる。一方で「環境の世紀」「生物多様性保全」といった言葉が市民権を得つつあるのは、なんと皮肉なことであろうか。栗栖健氏の『日本人とオオカミ』は、この逆説的な状況の中でこれからの環境問題を考える際に、極めて重要な手掛かりを与えてくれる。
目次
第1部 篠原踊(シカ・イノシシ)
第2部 神から凶獣へ(原始時代;古代;秦氏と稲荷;万葉の野 ほか)
第3部 オオカミがいたころ(山の生活;見た人;根付け;声 ほか)
著者等紹介
栗栖健[クリスタケシ]
1947年生まれ。広島県出身。毎日新聞記者として滋賀県北部、丹後、山陰、奈良県吉野地方などで勤務。戦後の食糧難の記憶から農業に関心を持ち、自然条件の克服と協調の関係に目を向ける。30歳を過ぎた頃から野山の草木を見て歩き、植物相の遷移が動物の種類の変化、人間の営みとの関わりの変化を伴うことを知る。早稲田大学法学部卒。現在、奈良県在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inarix
6
記紀において“貴き神”と呼ばれ、万葉集では枕詞“大口の”をかぶせて飛鳥の地の“眞神原”と歌われた古代から、人襲撃、通常は起こりうるはずのない共食いの記録などが残る安土桃山時代から江戸時代の近世まで、神から凶獣へと長い年月を経て変わっていったオオカミ像の変遷をたどる。 第3部では、実際にオオカミを目撃した経験を伝える各地の老人へのインタビューを掲載。ニホンオオカミが絶滅する寸前の記憶を伝える。 1989年~91年『毎日新聞』奈良県版に連載、その終了から10年以上を経て書き直し、出版されたノンフィクション。2013/10/20
カネコ
3
△2013/01/28
1_k
3
古代からの狼に関する文献や、現代にいたっては作者自らの取材内容を羅列した本。というのは、明確な論旨があるわけではなく、かなり書き方が漫然としているのである。それも作者の経歴を見て納得、新聞記者さんである。まさに新聞記事の長編版といった、伝聞をまとめましたよ的な人事のようなトーン。他にちゃんと体系的にまとまったアカデミックな関連書を読んだ上で、更に独自に考察するための事例収集用に読むべき一冊ではなかろうか。少しがっかりである。2012/01/28
かやは
1
日本は、豊かな自然条件のおかげで漁猟、狩猟、採取に依存した生活が可能だった。牧畜を持たなかったことで、オオカミが家畜を襲うこと無く、人間との紛争も生じない。それどころか、田畑を荒らす鹿や猪を食べてくれる存在だった。そのことが、日本人がオオカミに敬意に近い感情を抱くことになった、ということ。やはり日本は自然の豊かさに恵まれた国なんだな、と改めて思った。しかしこの本は少々乱雑である。資料を羅列しているだけのように感じた。もう少しまとめて著者の見解なども記して欲しい。2012/07/28
Hans
1
今の狼のイメージは、江戸に確立した。それ以前には、あえて語られず。ただし、農作物を害獣から守るため、忌み嫌われても恐れられてもいなかった。2011/10/01
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