内容説明
ソシアビリテ論の射程は「国家」に届くか。人と人との社会的結合のあり方から歴史へのアプローチを試みた新しい方法は、全体秩序をもとらえることができるのか。時代と地域を超えて、ソシアビリテ論の可能性を探る。日本西洋史学会第44回大会シンポジウムより。
目次
問題提起(ソシアビリテ論の射程)
報告(シェイクスピア時代の「酒場」の世界と社会統制;中世フィレンツェの人間関係 ほか)
コメント(ソシアビリテ論の射程は東方に届くか;ソシアビリテの濃度と競合)
討論
批判と提言(ソシアビリテ論とネットワーク論;表象としての「社会的結合(ソシアビリテ)」 ほか)
特別寄稿(日常的実践の個性化とソシアビリテ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Cebecibaşı
1
近世後期〜近代初期を対象とするフランス史の方法論として出てきたソシアビリテ論が、より抽象的な方法論として別の時代別の地域における援用可能性を探る一冊。恥ずかしながらソシアビリテ論はあまりフォローしてなかったので実態を持たない観念的な意味でのソシアビリテのイメージをいまいち最後までつかめなかったが、研究会での討論も収録されていて色々勉強になった。ソシアビリテ論を他地域にまで広げていくことは一つの道としてありえると思うけど、そうするとわざわざ「ソシアビリテ」という言葉で表す必要があるのか疑問に思った。2020/04/21