内容説明
大恐慌から第2次世界大戦にかけての十数年間は、共産主義が勃興し、帝国主義が跋扈し、世界は大きく変貌しつつあった。その最中、スターリンやチャーチル、そしてルーズベルトらの各国首脳が繰り広げた外交交渉は、国益と国益の衝突であり、国家間の凄まじい勢力争いであった。混乱と激動の時代、野望と策略と思惑が渦巻く中、強力な指導力を発揮したルーズベルト大統領。自らを「ジャグラー(曲芸師)」と称し、米国を戦争へと駆り立てていったルーズベルトの素顔と彼の生きてきた時代を、多くの証言を織りまぜながら探る。
目次
第1部 ヤルタの災厄(最後の肖像画;参戦の密約;北方領土 ほか)
第2部 大恐慌のたたり(ニューディール;その男、ホワイト;ホワイトハウス炎上 ほか)
第3部 日本脅威論(力の外交;アジアへの野望;わが友オトヒコ ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ZEPPELIN
3
日本が敗戦に向かっていく裏側の話なので、愉快ではないが興味深い。黄禍論という、ソ連の南下に怯えていた日本にはお恥ずかしいくらいの評価だが、当時のアメリカには見事に浸透してしまった。それを払拭できなかった日本も、真に受けたアメリカも、ソ連と中国に外交で完敗したということ。200人以上のスパイがアメリカ中枢にいたことも驚きだが、アメリカという国が攻撃は強く防御は弱いというのは現代でもあまり変わっていない。ルーズベルトにとっての救いは、朝鮮戦争や冷戦に関わらなくても済んだことだろうか2015/05/10
ジュンジュン
1
ルーズベルトの生涯を概観するというより、大統領時代を細かく分けたトピックで紹介する感じ。上巻では、日本関係に力点を置いている印象。2016/12/08