出版社内容情報
シオニズム運動を世界史的な視野で考察しつつ,シオニストとナチとの知られざる関係を剔抉し,全体主義に覆われた20世紀の暗部を鋭く照射する反シオニズム論。
内容説明
世界戦争の谷間でユダヤ人たちがホロコーストの予兆におびえていたファシズムの時代に、シオニストたちは何をしたか。シオニズム運動を世界史的視野で考察しつつ、シオニストとナチとの知られざる関係を剔抉した画期的反シオニズム史論。
目次
ホロコースト以前のシオニズムと反セム主義
「血と土」―シオニズムの人種論のルーツ
ドイツのシオニズム運動とヴァイマル共和国の崩壊
シオニズムとイタリア・ファシズム
ドイツ・シオニズムのナチズムへの協力申し出
ユダヤ人の反ナチ・ボイコットとシオニスト=ナチ通商協定
ヒトラーはシオニズムをどう見ていたか
パレスティナ―アラブ、シオニスト、イギリス、ナチス
世界ユダヤ人会議
改訂派シオニズムとイタリア・ファシズム〔ほか〕
著者等紹介
ブレンナー,レニ[ブレンナー,レニ][Brenner,Lenni]
1937年、ニューヨーク生まれ。1960年代の公民権運動など、一貫して人権運動や反戦活動を実践し、不羈独立のユダヤ系社会運動家として、ラジカルな批判的シオニズム史論を幅広く展開している
芝健介[シバケンスケ]
1947年生まれ。東京大学大学院国際関係論博士課程修了。東京女子大学教授。専攻はドイツ近現代史、ユダヤ人問題史、ニュルンベルク裁判論
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
10
ユダヤ系アメリカ人の社会活動家による、極めて批判的なシオニズム史。シオニストは伝統的にエスタブリッシュメント寄りで、民族主義的かつ反共的でもあったため、帝国主義列強の支配層と容易に妥協できた。のみならず、一部はファシズムにさえ接近した。ユダヤの純血性にこだわり、異宗婚や同化主義に反対する価値観から、同じく人種の純潔を呼号するナチズムとはどこか相通じるものがあったという。左翼や労働運動との連携を嫌ったシオニストが、反ナチ運動の足並みを乱した側面も見逃せない。2024/02/06
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
6
原著は1983年、この邦訳は2001年。著者はユダヤ系アメリカ人で、これまで一貫して反戦や社会活動を続けてきた。そして反シオニズム。 『冷戦の闇を生きたナチス』の中にモサドとナチスが協力したとあった。そして今回の大虐殺は、イランの様な反イスラエル国以外でも「シオニズム=ファシズム」の認識を広げた。そこを知りたい為に読んだ。なお知ったのはX上の陰謀論界隈。前書も同様。全体として読みやすいとはいい難く、だいぶ時間がかかった割には理解は深くない。→2024/02/16
まっさん
1
ファシズム時代にはユダヤ人はひどい目にあった訳だけど,でもそれはいわゆる99%の人たち。1%のエスタブリッシュメントはいい暮らしをしていた。どこの国でも同じ。アメリカでも,日本でも。むかしも,今も。ナショナリズム,民族主義や宗教などで99%の人たちを『おれたちの方が優れてるんだぜ』と煽る。99%の人たちは自分で自分の首を絞める。2014/02/01