内容説明
東京在住の米国鉄道ファンの東京地下鉄見聞録。歴史、路線、車両解説も。
目次
東京の地下鉄小史
東京の地下鉄
東京都交通局
帝都高速度交通営団
銀座線
丸ノ内線
浅草線
日比谷線
東西線
三田線
千代田線
有楽町線
新宿線〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えすてい
8
1992年の刊行なので、地下鉄サリン事件が起こる前のことである。当然のことながら、この本の原著者・翻訳者・写真家ともに誰もが、この東京の地下鉄の車内で毒ガス散布テロ事件が現実のものとして起こり、6000人超の人が死傷するとは、当時は想像もつかなかったに違いない。平成に入りバブルが崩壊したものの、東京の地下鉄の安全と正確さは世界一と自負してたに違いない。勿論、刊行当時でも酔っ払いや痴漢に苦慮していると本文中には書かれているが、それでも、原著者にとっては、故郷の米と比べるとすこぶる「安全・安心」なのだろう。2021/01/07
えすてい
7
著者は東京の地下鉄の素晴らしい特徴として、地下鉄同士の乗り入れ長いことを挙げている。確かに、この時代は地下鉄の路線が各々独立していて、乗り換えと車両検査出入場以外で交わることはなかった(検査以外に銀座線の臨時列車が丸ノ内線に乗り入れることはあった)。しかし、南北線と三田線が白金高輪で接続し東急目黒線と相互直通運転、副都心線が開業し小竹向原~和光市で有楽町線と同じ線路を走る、乗り入れ先では半蔵門線と日比谷線が東武伊勢崎線で合流。地下鉄の他路線が同じ線路を走る構図が21世紀になると当たり前のものとなった。2021/01/13
えすてい
6
東京の地下鉄の最も有名な場所の一つに銀座線の渋谷がある。表紙写真は、表参道からトンネルを出て渋谷に向かう01系。本文中にも渋谷を発着する銀座線の写真がある。しかし、この光景は見られなくなった。銀座線の渋谷は東横百貨店から出入りするホームは廃止され、やや表参道寄りの新しい島式ホームに移転し、トンネル出口とホームは一体化したシェルターに覆われ外から直接銀座線列車を見ることはできなくなった。2021/01/15
えすてい
6
1992年の刊行である。阪神淡路大震災よりも前である。日本の地下鉄は地震にも耐えられる設計になっているとこの本には書かれている。阪神淡路大震災では、地下鉄は地震による人的被害はなかったが、構造物では、神戸高速鉄道には大きな被害が出、神戸市営地下鉄も、被災してない区間の区間運転や、被災区間では一部区間の単線運転を余儀なくされた。これを機に地下鉄の耐震化がより強化された。水害では、カラーブックス打ち切り後の2000年に東海豪雨で名古屋市営地下鉄はトンネル内が浸水した。これらの被災の衝撃は大きかった。2021/01/11
えすてい
5
カラーブックスでは珍しい外国人による執筆。東京在住のアメリカ人が、日本の地下鉄の象徴である東京の営団地下鉄と都営地下鉄の路線を開業順に述べてく。車両の解説ではなく路線の感想や、開業から日がまだ浅く他の地下鉄線と接続のない発展途上の営団南北線、都営12号線に期待を寄せ、東京の地下鉄を「褒め称えている」。銀座線と丸ノ内線支線では2000形が最後の日が近づきつつあり、営団都営ともにようやくVVVF車も登場し始めた頃のことである。