内容説明
古代学芸の受容、信仰理解の体系化、修道制の確立などに大きな役割を果たした西方の教父群像。ラテン教会は彼らにより揺るぎない基盤を与えられ、決定的な飛躍を遂げる。中世の自己成型が進展する世界史的時代の証言たる重要著作を網羅。
目次
ポルフュリウス・イサゴーゲー註解
三位一体論
エウテュケスとネストリウス駁論
戒律
綱要
田舎者たちへの訓戒
対話
語源
著名者列伝
火花の書
感想・レビュー
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roughfractus02
6
キリスト教国教化後ギリシア語文献のラテン語訳が活発化する中で、ラテン教父の著作に異教とされたギリシアの哲学や文芸の影響が現れる。プラトンとストア派の継承者ボエティウスは教父かつストア哲学者だった。彼はポルフュリオスの著作の註解を書き、アリストテレスの著作をラテン語訳して後続の研究を活発化させる一方、東ローマ帝国でのカルケドン信条の混乱に対し、アリストテレスのカテゴリー論を用いた『三位一体論』を著した。イタリアが東ゴート国下にあった6世紀、ラテン教父の古代継承の意志は修道制の組織化に向かう(11編を収録)。2019/05/21