内容説明
軍楽隊の演奏が山場にさしかかったとき、ふいにトロンボーン吹きの軍曹が射殺された。数日後、今度は同姓の大佐が墜死を遂げる。曰くありげなこの事件に挑むのは四人。新聞記者、詩人、弁護士、中国人―いずれ劣らぬ個性派が、ドミノの卓を囲みながら謎の核心に迫っていく。革命の記憶さめやらぬ1922年のメキシコシティを舞台に男たちの闘いと友情を活写するユニークな冒険譚。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sabosashi
7
二十世紀初頭のメキシコ革命は、ロシア革命に先立つものとして高く評価されることもあるものの、知れば知るほど、それほど話は容易ではないことに気づいてくる。 じっさい、いくつかのことなった評価やら解釈を試みることも可能である。 とりわけ、権力抗争の構図である。 しかしながら、この作品で試みられているのは、軍人、石油、米国をキーワードにしての利権一辺倒。 愛国心やら祖国やらナショナリズムなんていうことばが、なんと縁遠く感じられることか。 すべての富は、やはり米国に牛耳られている。 2018/04/25