感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本の紙魚
1
主人公?のイーゴリ自体は全然英雄ではなくて、むしろ周りに迷惑かけすぎ。無謀に戦を仕掛けて、捕虜になって、部下を見捨てて故郷に帰る……人間臭いし妙なリアリティ。捕虜なのに狩りができたり、敵方の娘と婚姻関係を結んだりというのは当時源平時代だった日本でも同じようなものだろうか。遠征物語以外にもオペラ「イーゴリ公」の原作と比較しての紹介や当時のキエフ・ロシアの状況、ステップでの遊牧民と農耕民の関係に、河の位置と利用状況まで詳しくて、ちょうど今のウクライナの場所でもあり、ここ半年でずいぶん聞き慣れてきた地名が並ぶ。2022/08/23
j1296118
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年代記やボロディンのオペラ、たまに『ローランの歌』など比較紹介しながら進んでいく、イーゴリ軍旗解説本。全文訳付。 岩波ので読んだ時もそうだったが、改めてこう丁寧な(「作者の意図」の説明含む)解説付きで読むとより一層、イーゴリの遠征それ自体は英雄叙事詩と呼ぶ気にはとてもなれないしょうもなさであった。2015/07/16
すがし
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ハッキリ言ってあまり面白くないのだが、この物語に賭ける作者の情熱がすごい。バレエの見所まで紹介してくれるとは…。また、ヤロスラヴナの嘆きは確かに圧巻の美しさ。2007/04/12