出版社内容情報
人間の醜さ、愚かさ、苦しさから鮮やかに決別する、古代中国が生んだ解脱の哲学三篇。「内篇」は中でも荘子の思想を最もよく伝える篇とされる。
内容説明
現代人の疲れた心に沁みわたる、古代中国が生んだ最高の解説の哲学。人間の醜さ、愚かさ、社会の息苦しさから自由になりたいと願った荘子は、彼一流の人を喰った諧謔を武器に、世俗的な価値観一切をちゃかし、切り捨てていく。しかし、常識の世界と決別しただけでは絶体的な精神の自由を手にすることはできない。すべての苦脳は己の物差しでものごとを捉えることからはじまると考えた荘子は、自我を放棄し、大自然と合一する道を究めていく。「内篇」「外篇」「雑篇」全三篇のうち、荘子の思想をもっともよく伝えるとされるのが本巻の「内篇」。碩学二人の手による『荘子』訳注の決定版!
目次
逍遙遊篇第一
斉物論篇第二
養生主篇第三
人間世篇第四
徳充符篇第五
大宗師篇第六
応帝王篇第七
著者等紹介
福永光司[フクナガミツジ]
1918‐2001年。大分県生まれ。中国思想史家。老荘思想・道教研究の第一人者。京都大学名誉教授
興膳宏[コウゼンヒロシ]
1936年福岡県生まれ。中国文学者。中国文学理論の研究により、2013年学士院賞を受賞。現在、京都大学名誉教授、財団法人東方学会理事長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
15
2004年初出。書き下し文→原文→現代語訳→注。素人なので、現代語訳から読むと意味がわかると思う。必要なら書き下し文を音読すればよいか。「人間世」(じんかんせい)とは、人間の社会(109頁)。「すべて度の過ぎたものには真実味が乏しく、真実味の乏しいものは信用されず、信用されなければ伝達者が罪を受けます」(134-5頁)。適度、信憑性、信用の大切さ。「規範は人を縛る膠(にわか)であり、道徳は人間関係のつぎめであり、技術は商いの手だてである」(189頁)。ノルム、道徳、技術の配分も大事か。書き下し文は再読で。2013/10/06
くま
1
孔子や孟子に対して、老子を読んだ時と同じように観念的でフワッとした印象。とても一度読んだだけでは理解できず、まるで禅問答を聞いているようだった。でも恐らく真剣に何度読んでも理解するには至らなそうなので、感覚的にこんな感じかなとイメージするぐらいで丁度良いのかな。2022/09/17
pyidesu
1
読み下しも難しかったので現代語訳で読んだ。保坂和志が確か「『三十歳までなんか生きるな』と思っていた」かなにかで、時間と情報(命令)に齷齪する現代的思考の対極に位置する思考法として紹介していたので気になっていたから読んだ。中国思想の中でも特異な位置を占めていて老子や孟子と比べても何が言いたいのかわからないくらい超然としている。まるでその辺に漂う空気か電磁波の行き交う電磁場のようなものになれとでもいうんだろうか。価値転倒の伝統はニーチェからディオゲネスまでしぶとく続いている。我々も激しく混乱しながら読んでいる2019/05/29
りりし
0
疲れているときに読むと、自分のちっぽけさを知り、心が楽になります。2013/12/18
jiroukaja
0
書き下し、原文、訳、用語解説の順。久々に読んで楽しかった。2013/09/14
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