内容説明
「クレオール主義」とは、なによりもまず、言語・民族・国家にたいする自明の帰属関係を解除し、それによって、自分という主体のなかに四つの方位、一日のあらゆる時間、四季、砂漠と密林と海とをひとしくよびこむこと―。混血の理念を実践し、複数の言葉を選択し、意志的な移民となることによってたちあらわれる冒険的ヴィジョンが、ここに精緻に描写される。「わたし」を世界に住まわせる新たな流儀を探りながら、思考の可能性を限りなく押し広げた、しなやかなる文化の混血主義宣言。一大センセーションを巻きおこした本編に、その後の思考の軌跡たる補遺を付した大幅増補版。
目次
「ネイティヴ」の発明―場所論1
ワイエスの村―場所論2
サウスウェストへの憧憬―プリミティヴィズム論1
ファンタジー・ワールドの誕生―プリミティヴィズム論2
文化の交差点で―越境論
異種交配するロシア=ブラジル―混血論1
父を忘却する―混血論2
旅する理論―ヴァナキュラー論
キャリバンからカリブ海へ―逃亡奴隷論
浮遊する言葉とアイデンティティ―クレオール論1
森の言語、曙光の言語―クレオール論2
位置のエクササイズ―ポストコロニアル・フェミニズム論
著者等紹介
今福龍太[イマフクリュウタ]
1955年、東京生まれ。人類学者、文化批評家。カリフォルニア、メキシコ、カリブ海、ブラジル、沖縄・奄美などを移動しながら、幅広い批評活動・文化運動を展開。札幌大学文化学部教授。2002年より奄美自由大学を主宰。サンパウロ・カトリック大学でも定期的に教鞭をとる
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