内容説明
ヨーロッパのキリスト教徒や知識人たちにもっとも広く読まれてきた『ユダヤ古代誌』。天地創造から説き起こし、紀元後66年のユダヤ戦争直前までの記述で終わる全20巻は、ヨセフスが敗軍の指揮官のひとりとしてローマに降ったのち、皇帝の厚遇のもとに書かれた。政治的には親ローマ派であり、思想的にはユダヤ教、ユダヤ文化の弁護者であったヨセフスの大著は、ユダヤ史を知るうえできわめて貴重な史料であるばかりでなく、イエスと同時代の散逸した記述を数多く含む文献として、キリスト教徒たちの関心をひきつけてきた。原著12~14巻までを収める文庫版第4巻は、『聖書』の翻訳、マッカバイオス戦争、アサモナイオス王朝の旧約・新約の間の200年。
目次
アレクサンドリアにおける聖書の翻訳―七十人訳聖書成立の伝承
エジプトとシリアのはざまで
マッカバイオス戦争(その一)―アサモナイオス一族の反乱とユダスの死
マッカバイオス戦争(その二)
ユダヤ独立とアサモナイオス朝(その一)―シモンの支配(前一四四‐一三六年)
アサモナイオス朝(その二)―ヒュルカノス一世の支配(前一三六‐一〇五年)
アサモナイオス朝(その三)―アリストブロスの支配(前一〇五‐一〇四年)
アサモナイオス朝(その四)―アレクサンドロス・ヤンナイオスの支配(前一〇四‐七八年)
アサモナイオス朝(その五)―サロメ・アレクサンドラの支配(前七八‐六九年)
アリストブロス二世による統治(前六七‐六三年)―ポンペイオスのエルサレム占領とユダヤ再編成
ヒュルカノス二世による統治(前六三‐四〇年)―アンティゴノス二世による統治(前四〇‐三七年)
ソッシオスとヘロデによるエルサレム包囲と占領―アサモナイオス朝の終焉
著者等紹介
ヨセフス,フラウィウス[ヨセフス,フラウィウス][Josephus,Flavius]
37‐100年頃。ユダヤの歴史家。エルサレムの名門に生まれるが、66年から70年にかけての対ローマのユダヤ戦争に、ユダヤの指揮官の一人として参戦する。その敗戦とともに、ローマ皇帝となったウェスパシアヌスとその子ティトスの厚遇を受けてローマに身を移し、『ユダヤ戦記』と『ユダヤ古代誌』を著す。その著は多くの散逸した史料を含み、ユダヤ史、キリスト教史を知るうえで貴重な文献となった
秦剛平[ハタゴウヘイ]
1942年生まれ。多摩美術大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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