ちくま新書
地獄めぐり

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  • サイズ 新書判/ページ数 235p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480058461
  • NDC分類 181.4
  • Cコード C0239

内容説明

「死」と言われて思い浮かべる風景―地獄。生前、悪行を為した者は、三途の川の岸辺で奪衣婆に衣服を剥がれ、閻魔大王の裁きをうけて、剣の山や火炎地獄、血の池地獄など、果てしない冥界めぐりに追いたてられるという。日本人の心の奥底に刻みこまれた、こんな死後の世界のイメージは、実は、現世が逆照射された風景だった。「十界曼荼羅」「地蔵十王経」など、数々の地獄絵にも残されているあの世観から、今に息づく日本の原風景をさぐる地獄の文化史。

目次

1 他界を遍歴する(他界遍歴と甦り―『日本霊異記』の世界;ヨモツ(黄泉)国訪問譚 ほか)
2 地獄を幻視する(地獄の視覚化;地獄を想起せよ ほか)
3 三途の川の奪衣婆(奪衣婆の出現;奪衣婆の系譜 ほか)
4 女の地獄と穢れ(女の地獄とは―「熊野観心十界曼荼羅」の世界;女の地獄の絵解き ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

姉勤

30
日本人の地獄のイメージが、どのようにして作られてきたか。仏教伝来以前の死者の弔いと、殯(もがり)による遺体の変化からの黄泉の想像。蘇りの観念がが、伝来後の皇族から貴族の火葬への移行により廃れていき、往生要集やその図像の絵説きによって三途の川、閻魔大王、鬼と火焔と血まみれのイメージは常識化していったのは、地獄絵を背負って全国を旅し、歌舞と音曲、そして春を鬻いだ熊野比丘尼による布教によるものがお大きかった、と。本書は図版が著しく少なく、ネットで出典の画像を見ながらでないと、巡れない活字地獄。2025/07/10

misui

10
地獄を中心に他界観について。いくつかトピックがあるが、殯から火葬への葬制の移行で「蘇りを期待しないで、身体から霊魂の分離を早め、いち早く死を決定しようとする」態度があったとするのはわかりやすい。身体と霊魂の二分化は強められ、行って帰ってこられるような水平的な他界観が、この世とは断絶した垂直的な他界観になる。また、自分たちの世界の現実を受け止めて、それを越えようとする想像力が発揮されたという点は胸に留めておきたい。この世を種にしたものが他界とすれば、他界から現実を読み取ることもできるだろう。2014/10/09

ろびん

1
一章のモガリについてが興味深かったですね。2019/02/12

Johannes

0
面白いが、図版が少なすぎるのでは……2020/05/02

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