内容説明
三国志の四大スター(曹操、孫権、劉備、諸葛亮)を始めとして彼らをめぐる勇士傑物、女性たちなど正史「三国志」の主要な登場人物を縦横に語り尽くす。「本読みの達人」による最良の「三国志」案内。
目次
正史『三国志』の話
1 混沌のはじまり
2 曹操をめぐる勇士傑物
3 北方の勇者たち
4 献帝とその周辺
5 荊州の人々
6 西方の暴れ者
7 孫権の家臣
8 劉備の配下
9 益州・漢中の人たち
10 女たち
11 四大スター
著者等紹介
高島俊男[タカシマトシオ]
1937年生まれ。東京大学大学院修了。専攻中国文学。大学教員を経て現在フリー。主な著書は「李白と杜甫」、「水滸伝の世界」、「水滸伝と日本人」(第5回大衆文学研究賞)、「本が好き、悪口言うのはもっと好き」(第11回講談社エッセイ賞)、「お言葉ですが…」、「水滸伝人物事典」「漱石の夏やすみ―房総紀行」「木屑録」「メルヘン誕生―向田邦子をさがして」
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
40
良書であり名著。横山光輝『三国志』を読んでいる最中の私には最高の副読本だった。まず『どこからでも読んでください』とあるのが嬉しい。文章も読み易く、当時の中国文化にも言及されていて理解を促す。歴史書の書き方の分類等、勉強になった。史実に忠実で、登場人物の短所がきちんと書かれているのがなんともヒューマンインタレスト。関羽が嫌われていたり、孔明は戦争にほとんど勝った事がなかったり。人物評は公平。何より面白い。やはりきちんとした学者の本っていい。オススメ。2012/01/20
安田
32
三国志の中では劉表が一番好きだ。本書ではしっかり擁護されているが、「『小説』三国志演義」のかませ犬ぶりのほうがはるかに人口に膾炙しているのでたちが悪い。あくまでも正統は曹操の魏にあり、蜀や呉はゲリラ政権みたいなもので、「演義」は、そんな劉備一党を英雄として美化しようという、エンタメ作家羅貫中の苦心の賜物だったのだろう。改めて群雄たちの姿を眺めてみると、実にひどい笑。でもこれが人間ですよね。就活がうまくいかず困っていた孔明が、弱小零細の劉備軍で妥協したのでは、という嫌にリアルな解釈に笑ってしまった。2018/07/01
ピオリーヌ
16
平成九年刊。『三国志人物縦横談』をちくま文庫化したもの。内容もほぼ変更なし)友達に絶賛された通り、魅力的な文章であっという間に読み終わった。考察の点で多少誤りもあるらしいが、それ以上に魅力が勝る。正史三国志をベースに個々の人物像に迫る内容。北宮伯玉を取り上げながら、趙雲を取り上げないこの人選が唸らされる。また建安二年の曹操による鍾繇を派遣した韓遂らへの慰撫について、関中を今の日本の三多摩地区(吉祥寺駅より西の一帯)に例えるやり方が斬新でわかりやすい。「東京の中心ではないけれども東京には違いない2024/10/10
ほうすう
12
再読。現代の日本でもなじみ深い『三国志』を正史にのっとって解説した本。しかし解説と言っても決して無味乾燥な淡々とした記述が続くわけではなく、むしろ真逆で話し言葉の軽妙洒脱な文章が続き、語り掛けられているような気分になる。物語である三国志演義とは一味異なる「正史」に沿った人物像をいきいきと描き出し、曹操の右腕として名高い夏侯惇は実は名将ではなかったのではないか。名軍師・諸葛亮は、周囲からは近寄りがたい恐怖の存在だったのではないか。といった演義とは異なる人物像が描き出されて実に面白い書物。2021/09/20
さとうしん
12
正史『三国志』よもやま話というか銘々伝。正史の基礎というか読み込み方もわかるような設計となっている。個別の議論については要審議の部分もあるだろうが、歴史エッセイとしては上等の部類か。2021/04/26
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