ちくま文庫<br> 手塚治虫はどこにいる

ちくま文庫
手塚治虫はどこにいる

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  • サイズ 文庫判/ページ数 243p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480031303
  • NDC分類 726.1
  • Cコード C0195

内容説明

これまで、テーマ主義的にしか語られなかった手塚論を全面否定し、線とコマ割りの面から手塚治虫を捉えなおす画期的な手塚治虫論。戦後約15年間の生命感に溢れていた線は、劇画やアニメとの関わりの中で、矯正を強いられてゆく。数度にわたって描き直された「ジャングル大帝」等をテキストに手塚作品の本当の面白さと表現論的な意味を探る。

目次

序―手塚さんの死
手塚治虫像―宝塚・戦争・マンガ
初期手塚マンガの楽しさ―モッブシーン
『新宝島』―コマの革命はあったのか?
『新宝島』の読み方―表現論
ヒョウタンツギ―方法的アソビの意味
落書き記号の面白さ―線の思想
手塚的な目玉たち―自意識
『ジャングル大帝』―「物語」と画像
月刊誌黄金期―『アトム大使』から『0マン』へ〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

7
「漫画の神様」という平板なイメージを、時代ごとの描線の変化によって立体化させていく。それが、戦争の終わりの解放感、メディアの多様化・巨大化、劇画の誕生とマンガの青年化など、社会と手塚治虫がどのような影響関係にあったかの考察と交わって、ダイナミックで面白い論となっている。かつてはコマの外側にあったマンガの文字情報が、手塚によってコマの中の「線」の圧縮されることで、マンガ表現は「自意識」を獲得し、表現の幅が一気に広がったという見立ては説得力がある。夏目さんの、「飄々と悩む」感じがなにより素晴らしい。2021/02/05

Takao

3
1995年12月4日発行(初版)。単行本は1992年6月、筑摩書房より刊行。ちくま文庫から刊行されているこの著者の『夏目房之介の漫画学』や『男女のしかた』を以前読んだが、とても面白く、本書を求めた。本書は、漫画家であり、エッセイストである著者による「手塚治虫論」。本作によって漫画批評家としての評価を確立したそうだが、素人の私にとってはとても難解な手塚論だった。ただ、戦後漫画界を切り拓いた手塚治虫が「過去の人」にならなかったのは、漫画の神様・手塚自身が変化を遂げていったからだということがよくわかった。2017/02/16

kokada_jnet

2
20年ぶりに再読。この本の中で終始、力説されている。50年代の手塚治虫の丸っこい絵柄の線の良さ。近年の海外マンガ邦訳ブームのせいもあってか。ようやく、実感をもって、理解できるようになった。「60年代以降は線が死んでいる」とまで書かれているが。自分はそちらの絵で刷り込まれているものだから。

タケミチ

1
上の世代の人には初期の線こそが手塚だと言う人がいて、中期後期の手塚マンガから入った僕としてはあまり理解できなかったんだけど、これを読むとある程度は納得できるようになった。といっても、やっぱりいまだに『W3』あたりの絵が一番好きなんだけど。2015/07/19

Tomochum

1
面白かった。コマ割りと描線を下敷きに語られる漫画史。コマとコマの間にある時間。モブの描き込み。ストーリーを茶化す存在の変遷。手塚治虫が神になる過程。講談社全集の線を「綺麗で洗練された線」と思っている私には、目からウロコが落ちるような考察が続く。リアルタイムで手塚漫画に触れてきた人と、そういえば私は手塚漫画を語り合ったことがないのだった。2015/01/02

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