内容説明
残虐凄惨さにおいて、他に比類ない我が国のキリシタン弾圧。その中でも、最も熾烈なものが「浦上四番崩れ」だった。一村総流罪、悲惨な拷問など想像を絶した苛酷な迫害にも負けず神への信仰を貫いたキリシタンたち。日本の近代黎明期の痛ましい事件を現地での綿密な調査と貴重な史料をもとに描きあげたなまなましい記録。
目次
1 キリシタン前史
2 キリシタンの発見
3 浦上四番崩れ
4 明治政府の弾圧
5 公使団の勧告
6 旅の話
7 楠本、中野両外務権大丞の巡見
8 近代日本の夜あけ―キリシタン解禁
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かおりんご
23
長崎のキリスト教弾圧について まとめられたもの。浦上の四番流しという言葉は知っていましたが、居住地を追われ、他藩預かりになっていたのですね。明治になってから、キリスト教も自由に信仰できるようになったと思っていたのですが、外国からの圧力があって初めて、信仰の自由を含めた本当の意味での開国政策がおし進められていったと。知らないことだらけで、勉強になりました。一向一揆も島原の乱も、農民が幕府の圧政に反抗して起こったものなのに、キリスト教徒は良からぬことを企んでいて、国家転覆を図ろうとしているなんて!2016/10/24
Hiro
3
キリシタンの歴史は私の強い関心を引く。長崎の教会や雲仙島原の史跡を訪ね史書や小説も幾つか読んだ。信仰心に驚嘆しながら、しかしそのあまりの苛烈さに充分共感や納得までは感じられないでいる。また国柄も文化も人種も違う遠い外国にまで死を賭して布教しようというキリスト教の独特な性格にも違和感を覚える。仏教にせよイスラム教にせよ例えばキリスト教徒を改宗させようとまではしないではないか。圧倒的で戦闘的で征服欲に満ちた宗教の由来を私は知りたいと思う。神の愛とか献身とか無私というだけではなく。充分感動的な本書ではあるが。2022/11/01
小町
1
遠藤周作『切支丹の里』『女の一生-キクの場合』にも見えた本。 何に驚いたって、つい、本当につい最近まで、切支丹が迫害されていたということ。 そして、耐え忍んだ浦安の人々に、原爆が落とされてしまったということ。 この本は、とても分かりやすく書かれている。 ただ、結構感情的な文章です。2008/02/02