ちくま文庫
10宅論―10種類の日本人が住む10種類の住宅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 225p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480023827
  • NDC分類 527
  • Cコード C0152

内容説明

住宅には隠そうと思っても現われてしまう「顔」がある。その一方で住宅に「顔」をもたせようと苦心する人もある。隠そうと思っても、現そうと思っても、「顔」は住宅におのずと備わってくるものである。私たちの住宅の「顔」はどうだろう。いま日本人に最も高い関心事である住宅というフィールドで転やかに展開される現代日本文化論。

目次

1 ワンルームマンション派
2 清里ペンション派
3 カフェバー派
4 ハビタ派
5 アーキテクト派
6 住宅展示場派
7 建売住宅派
8 クラブ派
9 料亭派
10 歴史的家屋派

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nbhd

23
奇妙な本だ。86年の本で、10の住宅スタイルを読み解きながら、住宅と人との関係にも色濃く投影されるポストモダン状況を浮かびあがらせた仕事。ちなみに「構造と力」は83年。10の住宅と住人の分類は、パターン化されたキャラの遊戯と見せかけて、実は、ニューアカ的文脈に則ったうえで、ドン詰まりに陥った「アメリカ建築の象徴主義」に対して「ニッポン建築の場所中心主義」を対置させることが主眼、これは相当な芸当だな、と感じた。10の住宅という分類の刃は、そのまま建築家である自身にも突きつけられていて、隈さんは相当なマゾだ。2017/05/05

鵐窟庵

7
実家にあった『10宅論』をさっき読んだ。1986年刊行なので25年前だが、筆跡は昭和末期〜平成初期らしい。内容の分析は今と共通する部分もあるが、今にしかないタイプの住宅がここには見られないのと、既にこの中のタイプであっても歴史的になってしまった住宅がある。25年はそういう意味ではとても長い。さて本書では、著者は人々の住宅への欲望を住宅の表象を記号論的に結びつけて書いている。その点においては『動物化するポストモダン』のようにデータベース消費的であり、住宅の記号のすなわち表層の組み合わせ的である。2021/05/25

引用

3
『10年後のなんとなく、クリスタル』だと思って読むといい感じということになる、隈研吾の気持ちが猛烈に分かるようになってきた2021/12/11

doji

3
ポストモダン的な諧謔性にあふれ、あとがきで「これはすべてでっちあげである」と言い切る感じがなんとも楽しい。とはいえ、おふざけとは言い切れないほどの批評眼はやっぱりさすがで、10の分類の中でも、すこしずつじぶんの中での思い当たるところを感じながら読んでしまう。30年以上前の視点にもかかわらず、いまだに日本人は住宅について記号的にしか捉えられてないのだなぁと、なんだか情けなくもありはっとさせられた。2020/08/19

鴨長石

2
日本の住宅を10の類型に分類しており、「ハレとケに対する応答」「家族の団結」「合理性」などの観点や「モラトリアム⇔家庭」「空間⇔モノ」などの対立軸による整理で直感的に腑に落ちる。それぞれの属性が年代に結び付けられてしまっているのは刊行後30年以上が経った今ではほぼ無意味だと思うが、各観点は十分今でも通用する。タイトルありきの本ということで10種類となっているが、上記の項目を1つ1つ選んでいくとどれにも当てはまらないスペックの人間・家族が出てくるので、10にこだわる必要はなかったのではないか。2020/08/12

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