ちくま文庫<br> 叛アメリカ史―隔離区からの風の証言

ちくま文庫
叛アメリカ史―隔離区からの風の証言

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 393p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784480023100
  • NDC分類 316.853
  • Cコード C0136

内容説明

アメリカ合衆国は、果たして自由と民主主義の国なのか?アメリカインディアン居留区・ブラックパワーの渦中に自ら飛び込み、叛史の担い手たちとともに行動しながら「自由の国」アメリカの見えざる暴力と虐殺の事実とその構造をあばきだす。現代史の同伴者たらんとする著者の、フロンティアスピリット神話を撃つ戦慄のルポルタージュ。

目次

赤人の国家と戦争と―硝煙のパイン・リッジ居留区から
ブラック・パワーの高揚と衰弱―エルドリッジ・クリーヴァーの転向に関する試論
チカーノ=混血の回帰点―E・サパタの息子たち
海に棄てられたジャップの役割―市民ケーンの怖るべき敵
ヴェトナム難民の明日の選択―むかしの飼い犬の牙のブルース
帝国主義の衰弱および再生過程における新・隔離収容論―見えざる魂の圧殺体制について
叛アメリカ史年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nobody

15
私がアメリカ帝国主義と言ったら引かれるだけだが、ゲバラや豊浦がそれを言っても罷り通る。良識ある一般大衆よ、蝙蝠の振舞はやめよ。問題はアメリカ帝国主義という規定が真実か否かだ。アメリカはインディアンをジェノサイドして土地を奪い建国した。FBIは1969年、ブラック・パンサー党を急襲して28名を殺害した。日頃民族自決権とか法治主義とか言っているはずの我々はこれらを認めている。アメリカは商取引のお得意様だから。結局民主主義やら進歩やら理性やらは衣食でなく礼節レベルの話で、世界の現実は衣食なのである。力こそ正義。2018/12/06

fff

4
ヴェトナム難民の章を読んで、これが『非合法員』の元ネタか、と得心した。2017/01/02

BLACK無糖好き

3
著者が船戸与一名義で作家デビューする前に豊浦志郎名義で書いたルポルタージュ。「叛史とは正史が設定した座標軸そのものをぶち壊すことを目的とした迎撃と侵攻のヴェクトルである」。と定義しているように、アメリカ帝国主義に抗う先住民、黒人奴隷、各国移民らの"叛"に彩られた行動様式が、地底で奏でられるブルースのように静かに熱を孕んで語られる。そこには紛れもなくその後の著作に見られる、少数民族の蜂起・紛争地の硝煙の臭い漂う最前線へと読む者を引きずり込むような、あの圧倒的な筆力の源泉が垣間見られる。2015/04/19

2兵

2
豊浦志朗ー後の船戸与一が書いた、渾身のルポルタージュ。アメリカ近現代史がテーマだが、そこに扱われているのは、白人による正史、汎アメリカ史ではなく、ネイティブ・アメリカン、黒人、日系アメリカ人らによって作られた"叛アメリカ史"である。小説ではないが、その力強く、叙情性を感じさせる文体、そして"弱者による強者への挑戦或いは反逆"というテーマは、まさに後に書かれる船戸文学そのもの。船戸与一のルーツ、彼の思想の源泉を知りたい人は、是非一読を。それにしても『海に棄てられたジャップの役割』の章は衝撃的だった…。2017/11/06

さとまみ読書垢2(小説・その他専用)

2
「アメリカ」の歴史と闘いと。ノート化しながら読んだ。特に「2章ブラックパワーの高揚と衰弱」のところ。

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/279446
  • ご注意事項