内容説明
少女の足を布できつく縛り上げ、人工的に変型させる―中国が生んだ奇習・纏足は、二十世紀に入りようやく廃止されるに至る。そこには一人の英国女性が深く関わっていた。その人の名は、リトル夫人。彼女を反纏足運動へと突き動かしたものは何か?世紀末の中国と英国を舞台に、知られざる「東西の出会い」に光を当てる。
目次
1 帝国の女性たち(ヴィクトリア時代の女性たち;大英帝国と女性たち)
2 英国女性の見た中国(リトル夫人とイザベラ・バード;中国のなかの西洋をどう見たか;中国・東洋をどう見たか)
3 纏足の発見(西洋の纏足観;中国の女性たち;中国における反纏足運動;リトル夫人と「纏足の発見」)
4 中国体験のもたらしたもの(ヴィクトリア朝社会と反纏足運動;帝国・中国で得たもの)
著者等紹介
東田雅博[トウダマサヒロ]
1948年、大阪府生まれ。富山大学人文学部教授を経て、現在、金沢大学文学部教授(西洋史学)
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感想・レビュー
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あねさ~act3 今年1年間は積読本を無くす努力をしたいなぁ。←多分無理🤣
8
思ってたのとかなり違ったかなぁ。 まぁ、時代背景的に当たり前っちゃ当たり前なんですが、やたらに当時の男性社会・女性蔑視の雰囲気がガンガン伝わって来て疲れた…………。( ̄▽ ̄;)2023/02/17
Stemonitis m.(すてもに)
2
「発見」という言葉に含意される認識枠組みの転換みたいな議論ではない。それどころか纏足の本ですらない。帝国主義時代の英国の女性が中国の女性にどのような眼差しを向けたか、という本。やや陳腐な結論としては、一般に英国の女性は英国内においては抑圧されていたが、植民地では現地人よりも高い地位にありつけたので、社会進出がなされた。ただし、リトル夫人は現地人と対等に親愛の情を以って交わろうとしたから偉いね、という話。伝記・モノグラフとしてはよいが、一次資料の多くがリトル夫人の筆なので、社会史としては射程が狭い印象。2012/04/21
Yumikoit
0
足りない。纏足について中国国内での歴史的文化的背景も語っておらず、不具、不具というがその実際について骨の変形などについて語るのは一番最後の章でわずかに触れる程度。「纏足―9センチの足の女の一生(馮 驥才)」の著作に触れ、パールバックの「大地」にも言及しているが、実際には一英国夫人が「纏足見つけてこれはダメだわ、やめさせたいわと反対してみましたー」的な野次馬的見地の域を出ていない。 文化史でもジェンダー論でもなく、イギリス女性から見たエッセイや体験談の範囲でもない。何を言いたいかわからない本。2014/03/17
れじーな
0
纏足とそれを無くそうとした英国女性を語りながら、当時のジェンダー問題に触れた一冊でした。纏足について書かれたものかと思っていましたが、どちらかと言えば英国女性の扱われ方の方が印象強かったです。中国では纏足という物理的な形でも女性は抑圧されていたけれど、英国でも目に見えない部分で抑圧されていたのだと気付いたリトル夫人が、帰国後に女性参政権運動に身を投じた、という最後が印象的でした。当時としては当たり前の英国優位な言動、でもそれが抑圧された女性の支えでもあったのかと思うと、傲慢とは言えないな、と思いました。2013/07/06