内容説明
梁山泊108人の豪傑たちの、活躍とものがたりの生成・変転のドラマ。
目次
1 豪傑たちのものがたり
総大将宋江
副将盧俊義
英雄色を好む?
人の殺しかたについて
李俊のばあい
女傑たち
人を食った話
武松の10回
講釈から芝居まで
誰が水滸伝を書いたのか?
遼国征討
一番いいテキスト
「天都外臣」とは誰ぞや?
水滸伝をチョン切った男
中国で出ている水滸伝いろいろ
豪傑たちのアダ名
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ピオリーヌ
11
昭和62年の刊。まず水滸伝を読み、水滸伝の背景を知ろうとした場合の入門書としては最適と思える内容。高島俊男氏ならではの軽快な語り口、毒舌が大変心地よい。 水滸伝は北宋末に実際あった「宋江三十六人」という盗賊団の話がだんだんふくらんでできたものであり、それ故にどんな優秀なものが現れても無能な宋江が大将である。という説明は大いに腑に落ちた。人食いの話では、日本と中国、またはヨーロッパ人との食習慣の違いが鯖田豊之『肉食の思想』のエピソードをひいて語られる。ヨーロッパ人は「牛や豚は人間に食べられるために神様が作っ2024/12/08
つまみ食い
3
水滸伝のストーリー、世界観、登場人物の特徴からさまざまなエディション、受容のされ方などを語り文字通り水滸伝の世界の良い入門本になっている。明清の中国の読書文化や民国以後の啓蒙やマルクス主義的読解などの多様さも興味深い。2024/10/06
さけフレーク
1
前半は魯俊義の評価が辛いのを除けば、割と納得する内容である。 後半はなんか面白くない2013/06/28
セイタ
0
水滸伝に関する専門書!前半は一般向けで水滸伝の概要を、後半は専門書らしく細かいところまでかかれている。前半だけでよかった。作者の主観を色濃く反映しながら、水滸伝を分析している。これが面白く、ためになる。時々、話が脱線するが、これが中国の文化や当時の情勢などに触れていて理解を深める助けとなる。毛沢東の話、食人の話などなどである。中国では水滸伝は批判の対象となっていたそうだ。通俗の小説でさえ批判の対象となる国では、素晴らしい文学が生まれ難いのも納得できる。2014/06/10
KAZOO
0
高島俊男先生の本来の専門の話でかなり分析視点が面白く読めました。 北方謙三さんの水滸伝シリーズも出ていますが、その前にこれを入門編と思って読んでみるのもいいのではないかと思いました。2012/05/06