内容説明
『告白』は偉大な思想家の伝記として明治以来、多くの読者を獲得し、各種の翻訳や多数の論文が発表されてきた。しかしそれはたんなる自伝ではない。神の前で告白しつつ、神とは何か、自己とは何かを問う魂の記録である。著者はアウグスティヌス自身の経験を軸にした人間理解の表明という観点から、『告白』が一貫したテーマと緊密な構成をもった、人間と神についての省察の記録であることを説得的に明らかにする。従来、『告白』における自伝的な部分と創世記に関する部分とが異質であることから、諸説が唱えられてきたが、本書では全13巻を統一的に把握する道を切り開き、その全体像に迫る。
目次
第1章 『告白』の主題と形式
第2章 不安と神探究
第3章 マニ教の克服
第4章 ミラノ体験と回心
第5章 内面の世界
第6章 永遠と時間
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- flick! 2017年2月号