内容説明
68歳になる作家、小歩危ルカは愛用のダブルネックのギターとともに、新宿のホテルに独り住む。中島らもが、近未来私小説と銘打った絶筆作品。
著者等紹介
中島らも[ナカジマラモ]
1952年、兵庫県尼崎市生まれ。灘中学校、灘高校、大阪芸術大学放送学科を卒業。印刷会社勤務、コピーライターを経て作家に。’86年、最初の単行本『頭の中がカユいんだ』を著わし、以降エッセイ、コント集、脚本、小説と幅広く手がけ、’91年『今夜、すべてのバーで』で第13回吉川英治文学新人賞、’94年『ガダラの豚』で第47回日本推理作家協会長編賞受賞。執筆以外にも演劇、トークイベント、ロックコンサートなどに活躍。’04年7月26日に急逝
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感想・レビュー
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桜もち 太郎
24
著者中島らも、急逝のため絶筆の書。絶筆と分かっていたので残りページが少なくなるにつれて寂しくなった。主人公・小歩危ルカ、68歳がどうなっていくのか、彼の生きざまが知りたかった、禅寺の坊主や蕎麦屋の親父を遣り込めるところが面白い。物語が続いていたのなら極左のロッカーも痛めつけることだろう。ルカの考えによると「役割の終わった人間は不条理のうちに死んでいく」そうだ。もちろんこれってらもさんの考えだよね。でも物語は終わっていない。らもさんの役割は終わっていない。愛しいアイドル・ククとの恋の行方が知りたかった。2020/08/19
ぜんこう
22
中島らもさんの遺作。【近未来私小説】となっているだけに、らもさんが爺さんになったら、間違いなくこの主人公の作家で音楽も酒もドラッグも好きな小歩危ルカのようになっていたんでしょう。 途中に楽譜が書かれてたので気になって数年ぶりにギター出してしまいました。 それと、途中に出てきた畸形のバンドの話は「DECO-CHIN」ですよね! 何度か書かれてた「命短し襷に長し」いい言葉です(笑) 物語の完成品を読みたかった(T_T)2016/11/03
ぽち
19
最近、というかここ半年くらい、またジー・ミッシェル・ガン・エレファントをよく聴いていて、わたしは音楽を聴くときはほとんど「音」を聴いている、歌詞の意味は聴いていない。ことばの響きは聴いている(まあそもそも好きな音楽のほとんどがボーカルのないものなのだけど)。ミッシェル時代のチバユウスケさんの歌詞はほぼほぼナンセンスで、ただかっこいいだけで、それが最高だ。らもさん52才、未完のまま絶筆となってしまった本作は、らもさんの美学や思想が小説の形で開陳される、それはいくつかの代表作とされるものと同様なのだけど、2020/06/18
myc0
16
10年ぶりの再読。全然印象が変わる!やっぱり読んでいて気持ちいい。これくらいの強さで生きていきたい。2021/11/22
ちょん
14
らもさん急逝のため、絶筆となった未完の作品。ギターがよくわからんため、曲の感じが上手く伝わってこなかったが、らもさんの生への強いこだわりがイタイ程に心に響いた気がする。小歩危ルカという作家に身を置き換えて、違う世界を生きているらもさんを見た。2012/09/15